はじめに
副業を始める会社員が増えている昨今。副業による収入がある場合、確定申告が必要かどうか迷う方も多いのではないでしょうか。本業に加えて副業から収入を得ることは家計の助けになるだけでなく、新たなスキルを習得できる良い機会でもあります。
しかし、副業収入には税金がかかる場合があり、適切な知識を身に付けておくことが、副業をする上でも非常に有益です。今回は、会社員が副業収入を得た場合に確定申告が必要になるケースや注意点についてファイナンシャルプランナーが解説します。
そもそも副業とは?
副業とは、本業以外で収入を得るために行う仕事のことです。本業の所定時間外に働いて収入を得る副業ですが、法律による明確な定義はありません。また、法律で副業は禁止されていません。さらに、厚生労働省が平成30年1月作成(令和4年7月改定)した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、原則副業・兼業を認める方向が適当であるとの考え方が示されています。
ただし、会社の就業規則で副業が禁止されている場合があります。就業規則とは、会社が従業員に対して守るべきルールや働き方の基準を定めた文書のことです。副業を禁止する理由としては、労務提供上の支障があることや情報漏洩の可能性があること、競業により自社の利益が害されることなどが挙げられます。そのため会社員が副業を始めるなら、まずは就業規則をしっかり確認するようにしましょう。
副業で確定申告が必要な場合とは?
会社などに雇用されている従業員(会社員)は、年末調整をします。年末調整とは、会社が従業員(会社員)に変わって1年間に支払われた給与から計算された所得税の精算手続きを行うことです。これによって従業員は自ら確定申告をする手間を省くことができます。しかし、会社員であっても、確定申告が必要な場合があります。
・副業の所得が20万円を超える人
・給与所得を2か所以上からもらっている人
・年の途中で退職して再就職してない人
などが該当します。
上記に示したように、副業所得が20万円を超える人は確定申告が必要になります。副業で20万円を超える場合の20万円は、必要経費を差し引いた金額です。必要経費とは交通費や通信費等、副業をする上で必要になる支出のことです。例えば、収入(=売り上げ)が30万円で経費がかからなければ、所得は30万円となり確定申告が必要になります。しかし、経費が15万円であれば、所得は15万円のため確定申告は不要です。
ここで「収入」と「所得」の違いを説明しておきます。この違いを知ることは、副業で収入を得た場合に、確定申告が必要かどうかの判断基準に役立ちます。
会社員である給与所得者の「収入」とは、会社が支払う総額の給与を指します。残業代やボーナスも含めた額面の金額であり、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額です。
一方、「所得」とは、収入から給与所得控除を差し引いた金額で、所得税や住民税といった税金は所得を基準に計算されます。給与所得控除とは、必要経費のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。会社員も収入を得るために、仕事用の服や靴、鞄、筆記用具など自己負担している場合もあるため、給与所得控除が認められており、1年間の給与収入に応じて控除額が変わります。
このように、収入と所得の違いや副業所得がいくらになるのかを理解することは、副業をする上で大変重要です。確定申告が必要であるにも関わらず手続きをしなければ、加算税や延滞税等ペナルティが課されてしまうため、この点はしっかりと押さえておいてくださいね。