はじめに
iDeCoの受け取りを遅らせても…
では、iDeCoを受け取ってから10年後に退職金を受け取れば良いのかというと、会社の退職金は自分の都合の良いタイミングで受け取れませんから70歳で受け取ることはできません。
反対に65歳で退職金を受け取った後10年あけてiDeCoを受け取ったらどうでしょうか? iDeCoは75歳まで受け取りを遅らせることができます。会社員でいるうちは加入者として掛金を拠出しその後10年間運用指図者として継続することが可能です。
退職金を先に受け取って10年あけてiDeCoを受け取る、これであれば10年ルールに「改悪」されてもiDeCoの重複期間分の退職所得控除を消費せずに退職金の退職所得控除とiDeCoの退職所得控除がダブルで使えそうです。
しかし、後でiDeCoを受け取る場合は20年ルールがあり、その前に受け取った退職金と20年空けないと重複期間分の退職所得控除額が消滅してしまうのです。このように、退職金もある、さらにiDeCoもあるという方がより得をするような退職所得控除の「二重取り」は許さないのが国の方針なのです。
今回の5年を10年に変えたのは、最近の定年退職の事情を鑑み、国のルールを世の中の動きに合わせたものと考えることもできそうです。
いずれにしても複雑なルールです。さらにいうと今回のケース以外にも様々なパターンが想定されるでしょう。受け取り時にいくら課税されるのかは、みなさん関心が高いようなので、次回はまた別のケースで「改悪」を検証していきたいと思います。