はじめに
自動車保険の特約を利用して自身と家族を守る
無保険車と事故を起こすと、示談や手続きにおいて難航し、なおかつ十分な賠償金が受けられない可能性が高くなります。無保険車との事故リスクに備えるために、自身の自動車保険に以下の特約を付けておくことで対策ができます。
・無保険車傷害特約
契約自動車に乗車していた方が無保険車との事故により、死亡または後遺障害を負った場合に保険金が受け取れます。補償内容は1億円から無制限に設定されていることが一般的で、事故による損害額が高額になり、加害者側から十分な補償を受け取れない場合に役立ちます。
・人身傷害補償特約
自身や同乗者の方がケガをした場合の治療費や、死亡した場合、後遺障害が発生した場合に保険金を受け取れます。また働けない間の収入や精神的損害なども補償します。相手の保険状況や過失の有無に左右されずに、速やかに保険金の給付手続きをしてもらえるため、安心して治療に専念できます。
また、車外補償もできるタイプは、自身や家族が車に乗っていない時(歩行中や自転車搭乗中など)の交通事故にも対応することができます。
・弁護士費用特約
事故における示談交渉を弁護士に依頼する際の費用を補償してくれます。専門家に交渉を任せることで、当事者同士で難しい示談交渉をする必要がなくなります。そのため被害者の負担が大きく軽減されます。
・車両保険
自分の車両が事故などで損害を受けた場合、その修理費や買い替え費用を補償します。無保険車との事故でも適用されるため、自賠責保険では支払われない車の賠償金を自身でカバーすることができます。
特約利用による保険料への影響と注意点
自動車保険の等級は1等級から20等級までの全20段階で構成されており、1年間無事故ですと次年度の等級が1つ上がり、保険料の割引率が高くなります。ただし、契約者の事故歴に応じて等級は変動します。事故を起こして自動車保険を利用した場合、次年度の等級は3等級または1等級下がりますが、等級が下がらない特約もあります。
等級が下がらない特約
無保険車傷害特約、人身傷害補償特約、弁護士費用特約は、無保険車との事故で利用した場合に等級が下がることはありません。そのため、これらの特約を使用しても次年度の保険料が値上がりする心配は不要です。
車両保険は等級が下がるため注意
一方で、車両保険については注意が必要です。無保険車との事故で、相手から賠償金が支払われず、自身の車両保険でカバーした場合、次年度の等級が3等級下がってしまいます。この等級が元に戻るには最低でも3年かかり、その間は割増保険料を支払う必要があります。そのため、車両保険の利用は慎重に検討した方が良いでしょう。
例えば、車両が大破し買い替えが必要な場合や損害額が数十万円以上かかる場合のみ使用し、軽微な損害については自己負担する方が、将来の保険料値上げを考慮すると賢明といえます。
特約の優先順位
一般的に車両保険の保険料は高額です。対して無保険車障害特約や人身傷害補償特約は、保険会社によっては自動付帯されている場合も多いです。そのため、コストパフォーマンスの観点から特約を付帯する際は、無保険車障害特約 → 人身傷害補償特約 → 弁護士費用特約 → 車両保険の順番で検討することをおすすめします。
無保険車との事故にあらかじめ備えを
事故の相手が無保険車であった場合でも、適切に対処すれば、自賠責保険や政府保障事業から最低限の補償を受け取ることは可能です。しかしそれだけでは十分な金額にならないこともあり、身体的・精神的・金銭的に大きく負担が伴います。自身や家族を守るためにも、自動車保険に無保険車に対応できる特約を付けて、あらかじめ備えておくことが大切です。
最後に、こちらで紹介している自動車保険は一般的な内容のため、保険会社や個々の保険によって異なることがあります。そのため、まずはご自身の自動車保険の契約をよく確認してみてくださいね。