はじめに
産休から育休中に使える主な制度は?
次に産休、育休中に使える主な制度を見てみましょう。
出産手当金
■制度概要
働く女性が妊娠した場合、産前・産後休暇を取得することができます。出産予定日の6週間前(42日前)からが産前休暇、出産日から8週間後(56日後)までが産後休暇です。ちなみに、産前休暇は本人の申請により取得する休暇ですが、産後休暇は強制的に休まなければならない休暇です。
とはいえ、約3カ月間、勤務先からの給料が支給されなければ家計は苦しくなります。こうしたときに受け取れるのが「出産手当金」です。正社員でもパート・アルバイトでも、勤務先の健康保険に加入していれば受け取れます。出産手当金で受け取れる金額は、「支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2×産休日数」で計算します。なお、国民健康保険には出産手当金の制度はありません。
■得するお金はどれくらい?
例えば、12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額が20万円だった場合
・1日あたりの出産手当金=20万円÷30日×2/3=4,444円(小数点第1位四捨五入)
・産休日数=出産日前42日+産後56日=98日
・出産手当金=4,444円×98日分=43万5,512円となります。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休)
■制度概要
出生時育児休業とは、父親が子どもの出生後8週間以内(母親の産後休業中)に、最長4週間(28日)まで取得できる制度です。産後パパ育休とも呼ばれており、育休とは別に取得できます。通常の育児休業と同じく、産後パパ育休を取得すると給付金が支給されます。支給額は、「休業開始時賃金日額×休業期間の日数× 67%」です。給付金に対して税金はかからず、社会保険料も免除されるため、手取り額の8割相当が給付されることとなります。産後パパ育休の特徴は、出生後8 週間以内であれば、2回に分けて取得できるところです。「4週間まるまる職場を離れることが難しい」といった場合でも、分割取得をすることで、育休の取得をあきらめなくてすみます。また、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲(10日以下または10日を超える場合は80時間以下)で休業中の就業も可能です。
■得するお金はどれくらい?
例えば、休業開始前6カ月で180万円(月30万円)の賃金を得ていた場合に
・産後パパ育休を28日取得
・育児休業前1日あたりの賃金:180万円÷180日=1万円
・1万円×28日×67%=18万7,600円となります。