はじめに

出産後から一定年齢まで使える制度は?

次に出産後から一定年齢まで使える主な制度を見てみましょう。

乳幼児医療費助成制度

■制度概要
乳幼児医療費助成制度とは、子育て世帯の負担を軽減し、子供たちが安心して必要な治療を受けられるようにと、各自治体が医療費を助成してくれる制度です。子供が医療機関を受診する際、通常は2割(義務教育就学前)または3割の医療費の自己負担が発生します。しかし、乳幼児医療費助成制度があるおかげで、医療費が完全に無償となったり、医療費の負担割合が下がったりします。

乳幼児医療費助成制度は、国が一律で決めているものではなく、自治体ごとに対象となる子供の年齢や条件など、助成内容は様々です。基本的に自治体に申請後発行される「乳幼児医療証」と「健康保険証」を診察時に医療機関の窓口に提示すれば、医療費の助成を受けられます。

■得するお金はどれくらい?
例えば、3歳の子が医療機関で受診した場合、通常、自己負担は2割です。ですから、医療費が総額1万円の場合、自己負担金額は、本来であれば2,000円になります。

自治体の助成内容が医療費の全額負担の場合、自己負担金額2,000円が助成され、医療費は無料になります。

児童手当

■制度概要
2024年10月から児童手当が拡充されました。児童手当は、高校生年代(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)までの子供がいる世帯に対して支給されます。

支給される金額は、子供の年齢や人数によって異なりますが、3歳未満は月額1万5,000円、3歳〜高校生年代は月額1万円、第3子以降の子供には3万円が支給されます。第3子以降にカウントされる対象の年齢がこれまでは18歳年度末でしたが、22歳年度末までに延長されています。また、これまでの児童手当では、所得制限限度額以上の所得がある世帯には「一律5,000円/月」しか支給されず、所得上限限度額以上になると支給が止められていましたが、2024年10月から所得制限が撤廃されました。支給方法も変更になり、2月・4月・6月・8月・10月・12月に、それぞれの前月分までの2ヶ月分が支給されます。

■得するお金はどれくらい?
例えば、中学生の子ども1人と高校生の子どもが2人いる世帯の場合、
・高校生の子どもの支給額:月額1万円×2人=2万円
・中学生の子どもの支給額:第3子に当たるので月額3万円
・合計:月額5万円
・2カ月分が振り込まれるので、10万円振り込まれます。

高校学校等就学支援金制度

■制度概要
高等学校等就学支援金制度は国公立私立を問わず、日本国内に住所を有する高等学校等に通う生徒を養育する、一定要件を満たす世帯に対して、国が支援金を支給する制度です。支給要件の中には「保護者の所得要件」があり、一定以上の所得がある場合には、就学支援金の受給対象から外れ、授業料は家庭の全額負担になります。支給金額は、国公立高校は年11万8,800円(世帯の年収の目安:910万円まで)、私立高校は年39万6,000円(世帯の年収の目安:590万円まで)または年11万8,800円(世帯の年収の目安:910万円まで)です。

東京都の場合は都内在住であれば所得制限なく国公立、私立高校の授業料が無料になります。

■得するお金はどれくらい?
全日制の国立・公立高等学校等に通う生徒には、片働きの場合は世帯年収が910万円未満であれば、年間11万8800円(月額9,900円)を上限に支給されます。

例えば、両親のうち一方が働いていて、公立高校に通う高校生の子ども1人、世帯年収910万円未満の場合
・高等学校等就学支援金の対象となり、年間の支援金:11万8,800円
・高校3年間でもらえる支援金:35万6,400円となります。

第3子大学無償化

■制度概要
2025年4月から始まる予定の大学無償化制度は、3人以上の子供を扶養する「多子世帯」を対象として、所得制限を設けずに、大学、短大、専門学校等の授業料や入学金を無償にする制度です。制度を利用する上で注意したいのは「3人以上が同時に扶養されている必要がある」「対象校以外への進学では制度は利用できない」「支給額には上限がある」点です。

3 人以上が同時に扶養されているという点ですが、例えば、子供が3人いて、第1子が大学に進学した場合、第1子は支給対象です。また、第1子に加えて第2子も大学に進学した場合、第2子も支給対象になります。ただし、第1子が大学を卒業して扶養から外れた場合、扶養される子どもが3人という利用条件を満たさなくなります。支給対象であった第2子だけでなく、第3子も支給対象外となります。また、対象校以外への進学では制度を利用できません。文部科学省のHPで確認しましょう。さらに、支給金額には上限があるので、無償化という言葉がついているものの、完全無償化というわけではありません。

■得するお金はどれくらい?
例えば、私立大学(昼間制)に4年間通った場合
・入学金:約26万円支給
・授業料:年額約70万円支給
・大学4年間の支援金:約306万円となります。
※進学先の入学金や授業料が支給上限金額を上回っている場合、差額を支
払う必要があります。

以上、今回は子育て世帯向けの経済的支援制度について見てきました。国の制度の他にも、各自治体独自で行なっている制度もあります。特に東京は子育て世帯の支援に力を入れており、最近は、無痛分娩や留学費用の助成なども打ち出してきています。今後も子育て世帯の経済的支援は拡充していくと予想されるので、こまめに情報を収集していきましょう。

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