はじめに
要注意の扶養控除の壁とは?
学生バイトが最も注意すべき年収の壁は、「扶養控除」によるものです。扶養控除とは、対象の扶養親族がいるときに税金の負担が減らせる制度です。これまでは、子どもが年収103万円を少しでも超えて働くと、子どもを扶養している親は扶養控除を一切受けられなくなるため、世帯全体で見た時に「働き損」を発生させてしまうことが課題となっていました。
例えば、特定扶養親族である大学生の子どもがたくさん働いたことで親が63万円の扶養控除を受けられなくなった場合、親の所得税率が20%であれば、約12.6万円(63万円×20%)も支払う所得税が増えることとなります。加えて、住民税(一律10%)の負担も約4.5万円(45万円×10%)増えます。年収が高くなると所得税率も高くなるので、親の年収が高い家庭では特に影響が大きくなります。
2025年以降は123万円または150万円~188万円に!
2025年からは、基礎控除と給与所得控除がそれぞれ10万円ずつ引きあがったことで、扶養控除が適用されるボーダーラインが年収123万円まで引きあがります。さらに、「特定親族特別控除(仮称)」が新設されることで、大学生年代の子どもは年収150万円までは親が63万円の控除が受けられます。年収150万円を超えた場合も、年収188万円までは段階的に控除額が減る形となるので、親の手取り額への影響は緩和されます。
注意が必要なのは、特定扶養親族になるのは、「控除対象扶養親族のうち、19歳以上23歳未満の人」という点です。23歳以上の大学生や大学院生などは、新設される特定親族特別控除の対象外となります。ボーダーラインは年収123万円となるので、該当する家庭は覚えておきましょう。