はじめに
日銀の追加利上げを受け、銀行で短期プライムレートの引き上げが相次いで発表されています。短期プライムレートは多くの銀行が変動金利型住宅ローンの基準金利の指標としているもので、三菱東京UFJ銀行はすでに4月から変動金利型住宅ローンの基準金利引き上げを発表しています。
このような中、「繰上返済をした方がいいのか」という不安な声があがっています。しかし、繰上返済は大きな決断であり、変動金利型住宅ローン特有のメリット、デメリットがあるため、家計と照らし合わせたうえで行うことが重要です。利上げ局面の今おさえておきたいポイントを整理しましょう。
変動金利型住宅ローン繰上返済のメリット
変動金利型住宅ローンの繰上返済を行う場合、特有のメリットやデメリットがあります。まず、メリットは以下のとおりです。
- 金利上昇時に利息額を低い金利で確定できる
- 将来の未払い利息の一括返済リスクを減らせる
- 団信の金利負担が減る
変動金利型の場合、将来の基準金利は見直し時期になってみないとわかりません。しかし、繰上返済をすることによって、繰上返済をした分、返済にかかる一部の利息額を確定することができます。金利上昇局面では今後の適用金利が上がることが予想されますが、繰上返済をすることで一部の返済を低い金利で早いうちに清算することができます。
また、変動金利型の場合、金利上昇により将来未払い利息が発生するリスクがありますが、繰上返済により先送りする返済を減らすことができますから、未払い利息が発生するリスクを減らすことができます。団信の金利が上がることはありませんが、繰上返済により借入残高が減ることで、生涯の団信の金利負担を減らすこともできます。
変動金利型住宅ローン繰上返済のデメリット
次に、デメリットは以下のとおりです。
- 毎月返済額が増える可能性
- 手元資金が減る
- 団信の保障が減る
変動金利型住宅ローンの繰上返済を行うと、その時点の金利で返済額が再計算されます。そのため、繰上返済後の毎月返済額は増える可能性があります。5年ルールが適用される場合も例外ではありません。前回の5年ルールが適用された時よりもその時点の基準金利が上がっていれば、毎月返済額は減らないもしくは増加する可能性があります。
また変動金利型住宅ローンに限定したデメリットではありませんが、手元資金が減ると同時に団信の保障が減る点もデメリットです。繰上返済の金額と時期には十分な注意が必要でしょう。