はじめに
中学入学は新たなスタートであると同時に、次なる教育費のステージの幕開けでもあります。本コラムでは、今後かかる費用について、様々な角度から子どもの中学受験を経験したFPが解説します。合格の余韻に浸りつつも、将来を見据えた資金計画の重要性を一緒に確認していきましょう。
想定外の出費に注意!学校行事・部活動で教育費は膨らむ
まずは、中学受験、本当にお疲れ様でした。合格までの道のりは、ご家族にとって悲喜こもごもの数年間であったと思います。
さて、入学準備は進んでいますか? 入学金、授業料、制服代、交通費、教科書代、修学旅行費などは事前に把握されていると思いますが、見落としがちなのが、学校行事、部活動、お小遣いといった、細々とした出費です。文部科学省の調査によると、令和5年度の私立中学校教育費は、年間で113万7,378円と公表されています。それぞれどのような費用がかかるのか見ていきます。
入学金 約12万円、授業料 約46万円、修学旅行費等 約7万円、学校納付金等 約17万円、図書学用品等 約8万円、教科外活動費 約7万円、通学関係費 約16万円。公立中学の学校教育費は年間 約15万円ですから、私立は公立の7.4倍となり、その金額の多さがわかる結果です。
1. 学校行事
入学直後からオリエンテーション合宿がある学校は多いと思います。さらに、サマーキャンプ、文化祭や体育祭の衣装代、材料費、芸術鑑賞、マナー教室など、様々な行事で細かな出費がかさみます。
姉妹校への短期留学や海外研修、海外でのボランティア活動など、任意参加の場合が多いですが、数十万円単位の大きな出費となることも。子どもの「やりたい!行ってみたい!」という気持ちを尊重したい親心と、家計のバランスを取るのが難しいところです。
2. 部活動
部費はもちろんのこと、運動部の場合、ユニフォーム代、シューズ代、道具代、練習試合の交通費、合宿費、遠征費、体や道具のメンテナンス代、プロテイン代など、年間を通してかなりの金額になります。
文化部でも、吹奏楽部やブラスバンド部では、数十万円する高額な楽器代、機材費、メンテナンス代、楽譜代、コンクール費用、合宿費などがかかります。レギュラー獲得のための個人レッスンを受けるケースもあるでしょう。プログラミング部で自宅に高額なパソコンを購入といった話も聞きます。
中高一貫校では部活動を長く続ける生徒が多いため、活動期間全体での費用を見積もっておくことが大切です。
3. 家庭によって大きな差! 中学生のお小遣い事情
お友達との付き合い方も、地元の中学とは異なる点があります。各地から生徒が集まるため、集合場所が遠方になることも。交通費、飲食代、趣味にかかる費用など、小学生の頃とは比較にならないほど出費が増えます。
交通系ICカードは交通費だけでなく、飲食等の購入でも使えるため、利用履歴を親子で確認し、お金の使い方を話し合う機会を設けましょう。
また、家庭によってお小遣いの金額に大きな差があります。金融広報中央委員会の調査では、中学生のお小遣い月額平均は約2,536円ですが、月に数万円お小遣いを渡しているご家庭もありますし、お小遣いは平均並みでもイベント毎に臨時で渡しているご家庭も少なくありません。中には、100万円を一括で渡し、3年間の被服費・イベント費・お小遣いとして、毎月収支報告をさせる家庭もあります。高校生でも私学はアルバイト禁止や許可制の場合もありますから、親の出費は続きます。
中学入学はお金の使い方や考え方を教える絶好の機会です。お小遣いの基準とその根拠を子どもに伝えるのはもちろん、お子さまとお小遣い会議をしてみるのもいいですね。