はじめに

代表的なコンテンツIP企業

日本の代表的なコンテンツIP企業といえば、以下企業が挙げられます。

  • ソニーグループ(6758)…アニメ、映画、音楽、ゲームと幅広くコンテンツを展開。『鬼滅の刃』『呪術廻戦』など人気アニメを制作した「アニプレックス」を傘下に持ちます。

  • バンダイナムコホールディングス(7832)…キャラクターやゲームを中心に展開。『ガンダム』『ドラゴンボール』『ワンピース』などの版権を持ち、グッズ展開やゲーム事業が強み。

  • 東映アニメーション(4816)…日本最大手のアニメ制作会社。『ドラゴンボール』『ワンピース』『プリキュア』などの人気作を手掛け、世界的に知名度が高い。

  • 任天堂(7974)…世界的人気ゲーム『マリオ』『ゼルダの伝説』『ポケモン(共同展開)』など、自社IPを多数展開し、ゲームや関連グッズを世界市場で販売。

  • KADOKAWA(9468)…ライトノベル、漫画、アニメなどの出版・映像化を展開。メディアミックスが得意で、『Re:ゼロから始める異世界生活』、『オーバーロード』などのIPを所有。

  • スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)…『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエスト』などの人気ゲームを持ち、ゲームを中心にアニメ化や漫画化なども行っています。

  • サンリオ(8136)…『ハローキティ』をはじめ、多くのキャラクターのライセンスビジネスを展開。海外でも非常に人気があり、幅広いグッズ展開を行なっています。

これらの企業は、おおむね業績好調ですが、各社が持つコンテンツIPの価値を測るのはなかなか難しいものがあります。なぜなら、財務諸表の作成方法が、日本基準か、国際会計基準(IFRS)かで、IPの価値を確認する資料が違うからです。

画像:サンリオ「2025年3月期 第3四半期決算短信

たとえば、キティちゃん、マイメロ、クロミと、世界で活躍するキャラクターを持つサンリオ。間違いなくキャラクター=コンテンツIPの資産価値は高そうですが、貸借対照表の「無形固定資産」は①31億円、資産全体の②1,802億円から見ると、たった1.7%です。世界のアイドル・キティちゃんの価値がその程度なわけがありません。日本の会計基準では、IPは資産として計上されないため、貸借対照表では、その価値を知ることはできないのです。

画像:サンリオ「2025年3月期 第3四半期 決算説明資料

キティちゃんなどのキャラクターの価値は、数字として計上されませんが、IPコンテンツの成長力は、決算説明資料に記載されています。サンリオの場合は、ロイヤリティ売上高が、それにあたります。直近発表された25年3月期第三四半期決算では、①売上高1,047億円に対して、②ロイヤリティ売上高は506億円ですから、ざっくり半分です。前年同期比でみると③82.6%増という驚くべき成長を示しており、今後も期待できそうです。

画像:ソニーグループ株式会社「2024年度 第3四半期 決算短信

一方、国際会計基準(IFRS)を採用しているソニーグループの貸借対照表には、しっかり①コンテンツ資産が記載されています。2024年12月31日時点では、2兆3,830億円で、資産35兆9,915億円に対しては、6.6%程度。コンテンツ資産には、映画、テレビ番組、音楽などのコンテンツ制作関連の資産が計上されており、映画の製作費用やライセンス料などが含まれています。これは、将来の収益の源泉となる資産で、収益を生む期間に償却されます。

ソニーグループは2020年にIFRSに移行しましたが、それ以降の4年間でコンテンツ資産は1.8倍に増加。その中でも稼ぎ頭となっているのが、ヒットソングIPです。たとえば、クリスマスになると必ず流れてくるあの曲が再生されるたび、当社にはチャリンチャリンとお金が入ります。このような金の卵となる楽曲が、24年3末時点で624万曲も保有されているのです。

ETFでまるっと投資する方法も

日本株全体が、いまいちパッとしない中、一人勝ちのコンテンツIPですが、投資先としてどの企業を選べばいいか分からない投資家も多いように思います。自分の推しがあれば、一択でしょうが、それほどでもない、となると1社を選ぶのはなかなか至難の業です。

そこで投資アイデアとして提案したいのは、ETFでまるっとコンテンツIPビジネスを買うという荒技です。日本のゲームおよびアニメに関連した商品、サービスを提供している企業へ投資をするグ「ローバルX ゲーム&アニメ日本株式ETF」(2640)は、任天堂、バンダイナムコ、ソニーグループ、カプコン、コナミグループ、東映、サイバーエージェント、KADOKAWA、デイー・エヌ・エーなど、主要なコンテンツIP企業20社に分散投資をしてくれます。

画像:TradingViewより

設定されたのは2021年6月で、基準価額は、設定来で64.06%上昇の好成績。純資産額は、まだ30億円程度で、やや流動性に不安はあるものの、今後の成長には多いに期待できそうです。

世界に誇る日本のコンテンツビジネスの可能性にかけて、NISAの成長投資枠で長期保有する作戦も筋がいいのではないかと睨んでいます。

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