はじめに

7位:300円亭主

7位も引き続き3桁(100円台)の金額。2001年のノミネート語「300円亭主」がラインクインです。

この言葉の注目ポイントは、9位で登場した65円バーガーと同じ「2001年」のノミネート語であるということ。当時の「現代用語の基礎知識・2002年版」(自由国民社)では、この言葉を次のように説明しています。「マクドナルドの平日半額セール。ここでハンバーガーを2個買い、缶飲料で昼食を済ませるサラリーマンのこと」。つまり「デフレ経済下で苦しむサラリーマンたちが昼食代の節約に励んでいた」ことを示す言葉だったのです。当時はハンバーガーのみならず、牛丼やコンビニ弁当などの価格も、デフレの波に飲まれていました。

6位:990円ジーンズ

引き続き3桁(100円台)の金額です。桁がなかなか大きくならないですね。

6位は「990年ジーンズ」という言葉でした。2009年のノミネート語になった言葉です。実は同じ年の新語・流行語大賞では「ファストファッション」という言葉がベストテンとして入賞しています。当時H&M、フォーエバー21、ユニクロなど、ファストファッション系の衣料小売店が人気を獲得。このうちユニクロのブランドであるg.u.(ジーユー)が販売していたのが990円ジーンズでした。やはりこの言葉からも、デフレの影響を感じずにはいられません。

4位:1000円パック・1000円高速

5位と4位は同じ金額でしたので「同率4位として2語をランクイン」とさせてください。4位にランクインしたのは、「1000円パック」と「1000円高速」の2語でした。ここでようやく4桁(1,000円台)の金額が登場です。

一つ目の「1000円パック」は、新語・流行語大賞の創設年である1984年の受賞語(流行語部門・特別賞)。当時、世間に大きな衝撃とを与えたグリコ・森永事件に関連して登場した言葉でした。グリコ・森永事件とは、「かい人21面相」を名乗る犯人がグリコ・森永製菓などの食品メーカーを対象に社長誘拐・放火・脅迫などを繰り返した事件のこと。特に世間を震撼させたのは、犯人が「青酸ソーダを混入させた菓子」を小売店にばら撒いたことでした。そんななか異物混入の防止策を講じるべく、森永製菓が考えだしたのが1000円パックだったのです。これは「1,200円程度の菓子をひとつにまとめ、完全包装を施し、1,000円で販売する」という商品でした。今回紹介するランキングの中では、少し異質な言葉かもしれません。

もうひとつの「1000円高速」は、2009年、麻生内閣が生活支援や景気刺激などを目的に導入した「高速道路の休日特別割引制度」のことです。その後、民主党(当時)が「高速道路無料化」をマニフェストの一つに掲げて政権交代を果たし、2010年6月には一部区間での無料化実験も行われることに。つまりこの時期、高速道路をめぐる社会実験が盛んに行われていたわけです。結局、1000円高速は2011年6月に終了しました。この言葉も、景気の刺激を志向している点において、バブル後の日本経済を象徴する言葉のひとつだといえます。

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