はじめに
個人年金保険
個人年金保険とは、60歳や65歳といった一定の年齢まで保険料という形でお金を積み立てておくと、あらかじめ設定した年齢から一定期間、あるいは終身にわたって年金を受け取れる仕組みの保険です。積立期間まで保険料を積み立てれば、基本的に元本割れの心配はなく、払込保険料よりもプラスになることもあります。ただし、途中で解約すると元本割れする可能性が高いので注意が必要です。
一定の要件を満たせば、所得控除のひとつである「個人年金保険料控除」が適用になり、税金の優遇が受けられます。その結果、所得税、住民税が安くなります。
例えば、毎月保険料を1万円支払って、個人年金保険に加入した場合、所得税の税率が10%の人の場合、所得税は8,000円、住民税は2,800円程度軽減できます。年金の受け取り時は、「雑所得」として課税されます。
最近は金利上昇を背景に個人年金保険の予定利率を引き上げている保険会社もありますが、投資商品などと比べると、以前利率は低い水準なので、インフレに弱い商品といえます。
①積立期間まで保険料を積み立てれば、元本割れがない
②条件を満たすと個人年金保険料控除が適用になり節税できる
<個人年金保険のデメリット>
①中途解約すると元本割れを起こす可能性が高い
②年金の受け取り時には雑所得として課税される
③インフレに弱い
変額保険
変額保険は、生命保険と資産運用が一緒になったような保険です。払い込まれた保険料の一部を「特別勘定」として投資信託などで保険会社が運用します。
変額保険は「保険」ですから、加入者が亡くなった場合には、死亡保険金が受け取れます。特別勘定での運用成果により、死亡保険金や解約返戻金の金額は増減します。運用がうまくいけば死亡保険金や解約返戻金の上乗せがありますが、運用がうまくいかない場合は、死亡保険金の上乗せはありませんし、解約したときの解約返戻金も少なくなってしまいます。特に解約返戻金には最低保証がないので、運用成果が良くない時には、大きく減ってしまう可能性があります。ただし、死亡保険金には最低保証があるので、運用がうまくいかない場合でも一定額を受け取ることができます。
また、保険は一般的に物価が上がるインフレに弱い商品ですが、変額保険は比較的インフレにも対応できる商品です。毎年の掛金は生命保険料控除の対象になり、最大で所得税4万円・住民税2.8万円の所得控除が受けられます(2012年1月以降の新制度の場合)。
なお、変額保険は途中で資産を引き出すことができますが、10年以内に引き出すと解約控除という手数料がかかってしまう点もデメリットです。
①加入者が亡くなると最低限の死亡保障がある
②特別勘定の運用がうまくいけば死亡保険金や解約返戻金が増える
③条件を満たすと生命保険料控除が適用になり節税できる
<変額保険のデメリット>
①運用がうまくいかなければ死亡保険金や解約返戻金が減る
②10年以内に引き出すと解約控除がかかる
③特別勘定で運用される投資信託は相対的に運用コストが割高