はじめに
主流となるオルタナティブ投資
オルタナティブ投資とは、株式や債券など伝統的金融資産とは値動きの相関性が低い資産で、前述したヘッジファンドをはじめ未公開株投資、そして森林や土地、美術品、インフラなどの実物資産が該当します。
従来、さまざまな機関投資家は株式や債券といった伝統的金融資産でポートフォリオを構築してきましたが、昨今、より運用リスクの軽減と収益機会の拡大を目指して、オルタナティブ投資に目を向けるケースが増えてきました。
実際、私たちの年金積立金を運用している年金積立金運用独立行政法人(GPIF)も、全資産の5%を上限として、オルタナティブ投資が可能になっています。
また、海外の機関投資家になると、さらに積極的なオルタナティブ投資のケースが見られます。
たとえばハーバード大学の寄付金を運用する基金は、全体の7割がオルタナティブ運用ですし、超富裕層の資産管理を行うファミリーオフィスや財団なども、かなりの割合でオルタナティブ投資を組み入れています。
将来的に、オルタナティブ投資が主流になるにつれて、そこが伝統的アクティブファンドに代わる、新たな価格発見機能の担い手になる可能性があります。
このように考えると、世の中がインデックス運用だらけになり、市場の価格発見機能が損なわれる恐れがあるというのは、いささか杞憂ではないかと思えてきます。
ましてや日本の個人投資家が、インデックス運用に傾斜したポートフォリオを持ったとしても、その影響は微々たるものでしょう。世界の運用資産規模トップ500社の運用資産総額は、2023年末時点で128兆米ドルです。1ドル=150円で計算すると、1京9200兆円です。2025年1月時点の日本の公募株式投資信託の純資産総額は231兆円であり、これがすべてインデックスファンドに置き換わったとしても、市場の価格発見機能が劣化する恐れは少ないと考えられます。
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