はじめに

新生活で家計に大きな負担となるものの一つが、引越し費用です。引越し業者への支払い、新しい家具家電の購入費用、新居の初期費用と、次々とお金が飛んでいきます。さらに、賃貸物件の退去時に思わぬ高額請求をされてしまったら、せっかくの貯蓄が一気に減ってしまうかもしれません。

そこで今回は、現役FPの筆者が、181,340円の退去費用を33,400円まで減額した実体験を交えて、賃貸物件の退去費用を抑える方法を解説します。


退去費用を抑えるための事前準備

退去費用を抑えるポイントは「事前準備」にあります。退去日までにやるべきことを確認しておきましょう。

解約の申し出る前にやること

1. 突発的な事故による壁の破損や床の傷は火災保険を活用
入居中に確認しておいてもらいたいのが、自身が加入している火災保険です。

賃貸物件に住んでいると、うっかり家具を壁にぶつけてしまったり、物を床に落としてしまったりして、室内に傷をつけてしまうことがあります。このような、日常生活における事故は、火災保険に付帯されている借家人賠償責任補償(※)でカバーできます。

(※)借家人賠償責任補償:賃貸物件の借主が、偶然かつ突発的な事故により室内を損壊した場合において、大家に対して法律上の損害賠償責任を負った際に保険金が支払われる

ただし、これは補償内容が「不測かつ突発的な事故」も対象としている場合です。加入している火災保険の保険証券を必ず確認しましょう。

注意点として、退去後は火災保険の補償がなくなるため、事故が起きた時点で保険を活用する必要があります。うっかりつけてしまった傷は、解約を申し出るまでにあらかじめ保険で対応しておきましょう。

2. 賃貸契約書を確認する
入居時に締結した賃貸契約書を再確認しましょう。特に以下の点に注意してください。

・解約予告期間(1か月前、2か月前など)
・退去時の原状回復義務の範囲
・特約事項(ハウスクリーニング代や鍵交換代の固定金額が記載されている場合あり)

契約内容をよく確認せずに退去を進めると、延長家賃を無駄に支払ったり、過剰請求を見逃したりしてしまう可能性があります。

解約を申し出た後にやること

3. 部屋の掃除を徹底する
退去時にハウスクリーニング代が請求されることがありますが、汚れがひどいと追加費用を請求される場合もあります。特に以下の箇所を重点的に掃除しましょう。

・キッチン(コンロの油汚れ、シンクの水垢)
・お風呂・洗面台(カビ、石鹸カス)の水周り
・窓ガラスとサッシ
・壁や床(軽い汚れは落としておく)

4.写真撮影で現状を記録する
退去時にトラブルを避けるために、必ず部屋の状態を写真に残しておきましょう。

・傷や汚れがある場所も含めて室内の写真を明確に撮る
・写真は日付がわかる状態で保存する

万が一、後日「ここにこんな傷があった」といわれても、証拠として提示することができます。

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