はじめに
個人が投資信託を選ぶにあたっては、アクティブ型よりもインデックス型の方が無難であるという話をしてきました。でも、なかにはそれでもアクティブ型を選びたいという方がいらっしゃるかも知れません。そこで、失敗しにくいアクティブファンドの選び方を考えてみたいと思います。
資金流入のファンドを選ぶ
まず資金の流出入を見て下さい。ただし現状、すべてのアクティブファンドの資金流出入状況を定期的に公表しているメディアがないので、自分で計算することになります。
方法はそれほど難しくはありません。
まず1口あたり基準価額を計算します。一般的に基準価額は1万口あたりで表示されているので、その基準価額を1万で割れば、1口あたり基準価額を計算できます。
1口あたり基準価額は、1口あたり純資産総額とイコールなので、純資産総額を1口あたり基準価額で割ると、受益権総口数が求められます。これを月次でチェックしていけば、受益権総口数の時系列の増減が分かります。
問題は、時系列の基準価額と純資産総額のデータをどこで取るか、です。たとえばヤフーファイナンスだと最長で1年間の基準価額と純資産総額のデータを、月次、週次、日次で取れるので、このデータをエクセルにコピー・ペーストし、前述の計算式を埋め込めば、時系列の受益権口数の増減を計算できます。最近は投資信託会社が自社運用のファンドについて、詳細な時系列データを計算しているところもあるので、そのデータが取れれば、それを使って計算すると良いでしょう。
資金流出入は、アクティブファンドの運用成績を左右する、重要な要素のひとつです。購入してみたいアクティブファンドでも資金流出が続いているような場合は、様子を見た方が無難です。
基準価額は過去の時系列をベンチマークと比較する
次は基準価額の推移です。ちなみに基準価額の騰落率は、ラップタイムの運用成績に過ぎないので、ファンドの本当の実力は分かりません。運用成績はできるだけ長期間で見るに越したことはないですが、最低でも過去3年から5年程度の基準価額と、比較対象となるベンチマークのデータは欲しいところです。
ちなみに分配金を再投資するタイプのアクティブファンドなら、配当込みのベンチマークのデータと比較する必要があるものの、配当込みのベンチマークはなかなかデータが取れません。したがって簡便的には、運用報告書に記載されているデータを活用するしかないでしょう。
運用会社のサイトには、大抵、運用しているすべてのファンドについて、過去の運用報告書が見られるようになっています。かなり手間はかかりますが、この運用報告書に掲載されている基準価額と参考指数(ベンチマーク)の数字をエクセルに入力し、起点を100として指数化すれば、基準価額がベンチマークを上回っているかどうかが分かります。
また、たとえばマーケットが大きく下げた時、そこから上昇に転じた時など、局面ごとに基準価額とベンチマークの値動きを比較することによって、下降局面に強いのか、上昇局面に強いのかといったことも分かります。
なかにはベンチマークを設定せず、絶対リターンを目指すというアクティブファンドもありますが、それでも日本株のアクティブファンドならTOPIXや日経225平均株価などのインデックスと比較することをお勧めします。インデックスよりも低いパフォーマンスしか出せないアクティブファンドは、高い信託報酬を払ってまで保有し続ける意味がないからです。