はじめに
インバウンド人気で、ラーメン店には毎日のように行列ができています。この連載でも「ラーメン御三家」として、力の源ホールディングス、丸千代山岡家、ギフトホールディングスを紹介し、投資対象として何度か比較検討しています。ラーメン業界は、引き続き好調ですが、株価はだいぶ高くなり、さすがに投資妙味が薄れてきました。
そこで次なる麺ブームとして、「うどん」が来るのではないかと注目しています。上場企業の中で、うどん御三家としてピックアップするのは、トリドールホールディングス(丸亀製麺)、ガーデン(山下本気うどん)、すかいらーく(資さんうどん)です。うどん県近隣出身で、1日1食は”うどん”を食していた”うどん通”のわたしからみて、有望な投資先はどこか検討したいと思います。
丸亀製麺の業績は?
まずは、うどん界の雄、トリドールホールディングス(丸亀製麺)【 3397】。国内外で「丸亀製麺」を中心に飲食ブランドを展開するうどん業界のリーディングカンパニーです。
2025年3月期第3四半期累計では、売上収益は前年同期比17.1%増の2,017億円、事業利益は21.1%増の140億円と、いずれも第3四半期の累計としては過去最高を更新。
主力の丸亀製麺は、売上収益が前年同期比で12.1%増の972億円、事業利益が15.4%増の159億円と安定成長を続けています。最近のインフレで、ワンコインランチが難しくなっている中、ぶっかけうどん(並)420円はありがたい。1,000円超えのラーメンと比べると、お得感が際立ちます。
海外事業も拡大中ですが、売上収益が前年比+21.3%に対して、事業利益は前年比34.5%減とちぐはぐな状況。これは、イギリスやアメリカでの人件費の上昇が激しいことや、出店初期の固定費が嵩むことが原因のようです。まだまだ海外では「うどん文化」が根付いていないため、教育コストがかかることも利益を圧迫しています。
とはいえ、全体としては好調を維持しており、株主還元姿勢も明確(年間配当予想は10円)。会社四季報では、来期26年3月期の営業利益予想を160億円(前年比+37.9%)としており大幅なジャンプアップが見込まれます。
山下本気うどんの業績は?
次に、ガーデン(山下本気うどん)【274A】を見ます。
2024年11月に東証スタンダード市場に上場したばかりのフレッシュな企業。2025年2月期第3四半期の売上高は127億円(前年比+14.1%)、営業利益は13.7億円(+26.4%)と急成長を見せています。
売上全体の中で「山下本気うどん」がしめるレストラン事業の比率は16.1%で、主軸は、売上比率67.3%の「壱角家」を主とするラーメン事業ですが、ここ3年ほどでうどん事業が急成長しており、第2の柱として定着してきました。
「山下本気うどん」は、若者に人気のSNS映えするメニューや店舗設計で、Z世代やインバウンド層の獲得にも注力しています。実際、わたしも渋谷の道玄坂近くで店舗の前を通りましたが、若者が入れ替わり立ち替わり出入りしていました。
価格帯は、かけうどん系で800円前後、具材を乗せた場合は、1,100円前後と、丸亀製麺と比べるとかなり強気の設定です。そのため、営業利益率が10%を超えており、今後の出店余地に注目が集まります。
資さんうどんの業績は?
最後に、うどん界に進出してきたばかりのすかいらーくホールディングス(資さんうどん)【3197】を確認します。
ファミレス界ではお馴染みの当社が、2024年に北九州発の「資さんうどん」を買収し、うどん界へ進出。2024年12月期の売上高は前年比13.0%増の4,011億円、営業利益は117億円から242億円へと2倍以上に増加していますが、資さんうどんが寄与したのは10-12月の四半期のみで、全体の売上から見るとほんの1%程度です。
とはいえ、東京初出店となった両国店がオープンした2月24日は、店外に約100人の行列ができ、ニュースになるほどの盛況ぶりでした。
丸亀製麺、山下本気うどんが、どちらも讃岐うどんに対して、資さんうどんは、北九州のソウルフードです。東京では目新しいため、多くのうどんファンや新規顧客から注目を集めており、今後の成長が期待できます。