はじめに
医療保険が必要かどうかの判断基準
今までの話を踏まえて、医療保険が必要かどうかの基準について解説します。
1.十分な貯蓄があるかどうか
医療保険が不要かどうかを判断するには、貯蓄額が重要な要素となります。一般的な病気やケガに備えるために、60万円以上の治療費があればいいことは、先ほども説明しましたが、入院に伴う収入が途絶えた時の生活費を補うために、プラスアルファで生活費の半年分の貯蓄があるといいでしょう。
2.収入が安定しているかどうか
収入の安定性も必要な要素になります。会社員や公務員など、安定した収入が見込める人は、病気で働けなくなったとしても、傷病手当金や有休消化を使うことができるため、すぐに家計が破綻するリスクは低いです。逆に、フリーランスや自営業者は、収入が不安定なため、医療保険を活用してリスクに備える必要があるかもしれません。
高額療養費の限度額引き上げによって再考察が必要な医療保険
2025年1月に高額療養費制度の引き上げを検討していると発表していましたが、8月に予定されている定率改定を含め、全体的に実施を見合わせるというニュースが世間を賑わせました。今回は見送りになりましたが、今後も限度額が引き上げになる可能性は高いといえます。今回のケースだと、60万円あればカバーできるという話でしたが、今後もその金額で足りるかどうかは、正直わからないというのが答えとなります。
また収入が高いほど自己負担額も高額化しており、かつてのような「貯蓄があれば保険は不要」と単純にはいえなくなっています。年収が高い家庭ほど、貯蓄の一部を取り崩すリスクを避けるために、医療保険で備えることを検討する価値が出てきているといえます。
従来の「貯蓄があれば医療保険は不要」という一般論だけでなく、家庭の経済状況や社会情勢を踏まえた判断が必要になってきているのかもしれません。