はじめに

2025年4月3日の早朝、トランプ大統領により各国にかけられる関税が発表され、想定以上にきつい数字に世界中が震撼しました。株式、債券、ビットコイン、安全資産といわれる金までもが一斉に売られるパニック状態で、4月7日の日経平均株価は、-2,644円(-7.83%安)と歴代3位の下げ幅を記録しました。

この日のプライム市場の値上がり銘柄数は、たったの6銘柄。それに対して値下がり数は1,628銘柄ですから、大げさでなくほんとの全面安でした。

そんな中で、異彩を放ったのが、前日比18.5%高のGMOインターネット(4784)です。決算発表があったわけでもないのに、なぜこれほど力強く上昇したのでしょう?


なぜ、GMOインターネットの株価は逆行高になったか?

GMOインターネットは、2025年1月1日にGMOグループの再編によって誕生しています。

プライム市場に上場しているGMOインターネットグループ(9449)が抱えていたインフラ事業を、東証スタンダードに上場していたGMOアドパートナーズに承継し、GMOインターネットに社名変更、1月1日にプライムへ市場変更したという経緯です。

2月12日に発表された2024年12月期の業績は、売上高129.99億円(前年比-12.8%)、営業利益1.39億円(前年は△0.25億円の赤字)でした。減収着地なので、けしてよいとはいえません。

ところが、新年度である2025年12月期の予想値は売上高750億円(前年比5.8倍)、営業利益80億円(前年比57.6倍)と、数字の間違いかと思ってしまうほどの増収増益予想です。

ただ、これは、経営統合によるものなので、それほど驚くものではありません。発表されたのも2月なので、いまさらこれが材料で逆行高したとは考えにくいです。

上昇理由は関税の影響を受けない「安心感」?

当社の収益の柱は、ドメインサーバーに対するストック課金です。これはインターネットを使う上で必要な「土台」になるサービスで、一度契約するとなかなかほかには移りにくいため、企業サイドからみると安定した収入源になります。全体の売り上げのうち82%が継続的な契約からの収入なので、おそらくトランプ関税がどうであれ、ほとんど影響を受けないという安心感があります。とにかく今は不確定な要素が多すぎるため、なによりもこの”安心感””安定感”が評価されたのでしょう。

もうひとつ、当社の株価が堅調な理由があります。7月以降に業績寄与予定のGPUクラウドなどの新規事業への期待です。

2024年11月22日から開始した新規事業・GMO GPUクラウドは、生成AI向けの高性能クラウドGPUインフラを、企業や研究機関に提供します。生成AIの学習や推論には、大量の計算資源(GPU)が必要ですが、自社で高性能GPUを買うのはコストやスキル的にも大変です。それをクラウドで貸し出すサービスです。

現状は、従量課金ですが、長期利用には定額ブランも導入される予定で、こちらも安定収入となる可能性が高いといえます。

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