はじめに

50代の老後資産準備

50代は、老後の具体的な数字が見えてくる年代です。50代になると、「ねんきん定期便」でも将来の年金額の目安がわかります。まずは年金で生活費が賄えるかどうかを確認します。

あわせて、退職金の受け取り方と個人型確定拠出年金などその他の資産の受け取り方もチェックしましょう。退職金と個人型確定拠出年金は受け取り方によって、税金が大きく変わります。自分がどの程度もらえるのか、どのような受け取り方ができるのかを確認しておきましょう。

使う時期別に分けて運用する

老後資金も、使う時期別に分けて運用すると良いでしょう。今は人生100年時代ですから、老後は30〜40年あります。60代の生活費として使うお金はすぐに使うので、あまりリスクを取った運用はできません。それに対して、80代90代で使うお金は、ある程度リスクを取った運用が可能です。

老後資金のために50代の方が今やっておくべきこととして、保有資産の金額と運用の仕方をチェックしてみてください。具体的には次のようなことです。

【チェックポイント】

  • 必要な老後資金に対して保有資産が十分か
  • リスク許容度を減らして運用方法が適正か(リスクを取りすぎてしまってないか)
  • 資産の分散がちゃんとできているか
  • インフレリスク対策ができているか

資産を預貯金で持ちすぎていたり、資産をすべて株で運用していたり、全資産を一つの商品に投資するのは、分散投資の観点からみても、あまりオススメできません。

50代以降の方の運用対象として、債券を検討しましょう。債券は株式などに比べて、リターンも少ないがリスクも少ないのが特徴で、より安全性が高いといえます。50代からは60代以降を見据えて徐々に債券に軸足を移していくのも良いと思います。今は米国の金利が下がるといいつつ、まだ高い水準を保っており、比較的米国債への投資に有利な環境が続いています。

ですから50代の方も、分散投資を基本としつつも、先を見据えて今のうちに債券を持っておくのも、悪くないでしょう。

60代の老後資産準備

60代になると、貯める・増やすといったフェーズから、使うフェーズに入っていきます。60代からは上手に使っていく、減らさずに使っていくことが大切です。

60代の方がまずやっておくべきことは、資産の配分をリスク抑えめの配分にシフトしていくことです。

60代以降は、相場が暴落して、生活費が不足することが一番大きなリスクです。また、病気などで施設に入ることになり、急にお金が必要になる可能性もあります。そのタイミングで相場が暴落していると、必要な時期に資産が減っている状況になります。そのため、比較的リスクの少ない債券中心の安定運用を基本として考えることをオススメしています。

また、徐々に取り崩す予定の資金であっても、運用しながら取り崩すことが非常に大事です。

相続を視野に入れた資産運用

もうひとつ、60代になると考える必要があるのは、相続を視野に入れた運用です。相続税は、昔はお金持ちが気にするものだと思われていましたが、今は状況が違います。

相続税の非課税枠はかなり縮小されていますので、自宅の不動産に加えて、ある程度の金融資産を持っている方は、課税される可能性が高いと思ったほうがいいでしょう。相続税対策をやっているかどうかで、100万円単位で相続税の納税額が変わってくる可能性もあります。

たとえば、生前贈与の非課税枠を利用して贈与していくことを考えましょう。これは毎年110万円の贈与の非課税枠を使って贈与していくわけですが、60代から始めると、お子さん1人につき10年間で1100万円、20年あれば2200万円といった大きな金額を贈与することも可能です。

不動産などの評価額を圧縮できるものを運用の中に取り入れる方法もあります。資産を不動産に換えておくと評価額が少し圧縮できますので、投資不動産で運用益を出しつつ、相続税対策をする方法も検討できます。賃貸物件にしておくとさらに相続税評価額を下げられる可能性もあります。こちらは分散投資の効果も期待できますので検討してもいいかもしれません。

相続を視野に入れた運用で、簡単に税金対策ができるものもあります。保険商品を利用した運用です。

生命保険金は相続財産の非課税枠とは別に500万円×法定相続人の人数の非課税枠があります。たとえば、配偶者とお子さんが2人でしたら法定相続人3人ですので、1500万円の非課税枠があります。この生命保険のみなし相続財産の非課税枠を使えば、一時払いの保険商品などを使って、しっかり運用しながら、大きな節税効果が期待できます。

【チェックポイント】

  • 生前贈与の非課税枠を利用した贈与+運用
  • 相続財産の評価額を圧縮できる運用
  • 保険商品を活用した運用

このように運用を考えるときに、相続の視点を入れてみると、のちのちの相続税がかなり変わってきます。

年代別に分けて、失敗しない老後の資産準備についてお話してきました。資産運用の重要性が増してきている今、自分にあった資産運用を考える一助になれば幸いです。

老後資金は失敗できない!あなたが今からできる資産形成の始め方、お金のプロに無料で相談![by MoneyForward HOME]

この記事の感想を教えてください。