はじめに
数字だけでは見えない、定性分析で企業の成長を見抜く
定量面でスクリーニングしたら、定量だけでなく定性の両面でも掘り下げて分析しましょう。
まず、その企業の売上高や利益が継続的に伸びているかを過去の業績推移から確認します。例えば直近5年の売上高が右肩上がりで増加していれば成長の軌跡が確認できますが、成長が一時的なものでないか注意が必要です。前年はたまたま新製品効果で売上急増したがその後伸び悩んでいる、といったケースでは今後も成長が続く保証はありません。なるべく複数年にわたって安定した成長トレンドがある企業を選びましょう。
また、四半期ごとの業績にも目を通し、直近の動向が大きく悪化していないかもチェックします。営業利益率や純利益率が業界平均と比べて健全か、ROEやROAが十分な水準かを確認しましょう。
加えて数字上の成長率だけでなく、その成長がどういう事業によってもたらされているのかの定性面の強みのチェックも必要です。例えば市場全体が拡大している分野でシェアを伸ばしているのか、どのくらいシェアがあるのか(高シェアが望ましい)、新たなサービスがヒットしているのか、あるいは単に外部要因(一時的な特需など)なのかを見極めます。持続的な技術力やブランド力などの優位性に裏付けられた成長であれば理想的です。企業の決算説明資料を読み込むのが近道です。
また、改めて財務状態を点検しましょう。貸借対照表を見て自己資本比率が極端に低くないか、過大な有利子負債を抱えていないかも確認すると良いでしょう。成長に必要な設備投資等で一時的に借入が増えている場合もありますが、債務超過の危険や利払い負担で利益が圧迫されるリスクがないか注視します。また、手元資金(現預金)の額やキャッシュフロー計算書で資金繰りに無理がないかもぜひチェックしましょう。
時価総額・取引タイミングとリスク管理
最後に、取引の際は時価総額も重要です。時価総額がある程度大きい企業であれば機関投資家も参入しやすく、極端な値動きのリスクは幾分小さくなります。スクリーニング時に「時価総額○億円以上」など条件を加えても良いでしょう。 100億円がひとつの目処となります。時価総額が小さい企業は株価が急騰しやすい魅力もありますが、その反面流動性が低く急落リスクも高いことも念頭に置いて取引をしましょう。
売買のタイミングはテクニカル分析が有用です。現在の株価チャートや過去の株価推移も確認します。割安でも株価が長期間低迷している場合、市場が何らかの懸念材料を織り込み済みの可能性があります。直近で株価が急騰して指標上すでに割安とは言えなくなっていないかを確認するとともに、割安のまま放置されている銘柄については、いつ見直し買いが入る可能性があるのかも注視しましょう。引っかかる点があれば、無理に手を出さず次の候補を探した方が無難だといえます。
特に「成長性が乏しいのにPERが低いだけ」の銘柄は要注意で、単なる業績停滞企業である可能性があります。将来性がない会社は早期に投資回収できても長期的なリスクが高まるだけなので、避けたほうが良いでしょう。
この記事があなたの銘柄選びの一助になれば幸いです。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]