はじめに
プラチナNISAは65歳以上の高齢者が対象
プラチナNISAは65歳以上の高齢者を主な対象としているため、この制度が導入されると高齢者が運用益を毎月の分配金として受け取り、生活費に充てることが可能になります。
日本の個人金融資産は約2,000兆円とされ、その約6割を60歳以上の高齢者が保有しています。しかし、その多くが預貯金として眠っており、政府は「貯蓄から投資へ」の流れを促進するため、高齢者層の資産活用を目的としたプラチナNISAの導入を検討しているとのこと。
また、高齢者の多くが年金収入だけでは生活費を賄いきれず、資産を取り崩して生活費に充てる必要があることも、制度導入の背景にあります。
毎月分配型の投資信託とは? 一般的な投資信託との違い
プラチナNISAでは毎月分配型の投資信託も買えるようになり、毎月分配型の投資信託が非課税対象になる点が最大の違いです。2025年4月現在、非課税枠や導入時期は公表されていませんが、2026年度の税制改正に盛り込まれる可能性が高いとされています。
毎月分配型の投資信託(ファンド)は、その名の通り「毎月、投資家に分配金を支払うことを目的とした投資信託」のことです。
一般的な投資信託は、年1回や半年に1回の頻度で分配金(利益の一部)を出すものが多いですが、毎月分配型は年12回、原則として毎月定期的に分配金が支払われる設計です。投資対象は、国内外の株式・債券・REIT(不動産投資信託)など多様で、複数の資産に分散投資する「バランス型」のファンドも多く見られます。
毎月分配型は、一般的に年金生活者や退職後の高齢者が、生活資金の補填として毎月のキャッシュフローを得たい場合に好まれます。また、年金のように毎月一定の金額が口座に振り込まれるため、生活費としての予算設計がしやすくなります。売却せずに保有を続けながら分配が受け取れるため、資産を運用しながら現金収入が得られるのは大きな魅力です。分配金は受け取っても、再投資に回してもよいので、自分のライフスタイルに合わせて資金用途や運用の柔軟性があるといえるでしょう。
毎月分配型のリスク
安定したインカム収入、毎月配当がもらえるのは、年金に加えてマネープランが立てやすいともいえそうですが、いいことばかりではありません。仕組みやリスクをよく理解せずに投資すると、思わぬ損失につながることもあります。
毎月分配型のデメリットや注意点3つを押さえていきましょう。
元本取り崩し
まずは「特別分配金」に注意すべきであるということです。特別分配金とは、投資信託の分配金のうち、非課税扱いとなる分配金のことです。毎月受け取れる分配金のすべてが運用益とは限りません。利益が出ていない時でも「分配」を維持するために、元本を取り崩して支払うことがあり、それを「特別分配金」と呼びます。
特別分配金は非課税ですが、それは「利益ではない=資産を減らしているから非課税」という意味であり、資産が目減りしていることを意味します。そのため特別分配はタコが自分の足を食べているようなものである「タコ足配当」といわれ危険視されることも。
複利効果の減少
加えて分配金を受け取ってしまうと、その分が再投資されず、複利効果(利息が利息を生む)が働きにくくなります。資産を増やす目的の投資には不利です。
高コスト・高リスク商品
さらに一定の分配金を保つため、ハイリスクな資産に多く投資したり、レバレッジを使うファンドも存在します。運用の安定性より分配を優先することで、リスクが高まる場合があります。
毎月の分配管理にはコストがかかるため、信託報酬(運用手数料)が高めに設定されている商品も少なくありません。高コストな投資商品は選ばないでいただきたいですし、投資商品の選び方によっては、かなりリスクもあると言えるかと思います。