はじめに
トランプ米大統領の相互関税をめぐる言動に世界が震撼し、世界中の株価が暴落しました。トランプショックの行方が不透明な中、「やっぱり私に投資は無理」と自信をなくした方も少なくないようです。今回は、そんな慎重派の方のために金利1%前後の低リスク投資法をご紹介します。
債券とは?
投資の基本は「長期・積立・分散」です。そして、分散の基本は株式と債券の組み合わせです。ここに不動産や金、石油などのコモディティが加わることもありますが、日本の株式、日本の債券、外国の株式、外国の債券に分散投資をすることを「基本の4資産」と呼びます。
なぜ、株と債券を組み合わせるのかというと、性質が異なるからです。株価が下落した時に債券の価格は上昇する傾向があり、それにより株の損失を相殺しリスクを低減させることができます。残念ながら、株式の下落幅と債券の上昇幅はイコールではないので、損失をなくすことはできませんが、それでもリスクを低減させる分散効果が期待できます。
投資はなにも株式に限ったことではないので、今回は分散投資の基本でもある債券について、具体的な商品を用いて詳しく解説していきます。
債券とは、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。国がみなさんからお金を借りる際に発行される証券は国債、企業がみなさんからお金を借りる際に発行されるのが社債です。
債券はお金の貸し借りなので、満期が定められます。満期のことを償還と呼びますが、このときは貸したお金が全額払い戻しされます。また、貸したお金が返ってくるだけではなく、利子も支払われます。通常は半年に1回、利子の支払いがありこれをクーポンと呼びます。
みなさんは投資家ですから、最初にその発行体はお金を貸しても大丈夫なのかという判断を行います。その際に、参考にするのが格付けで第三者機関が発行体の財務状況などを評価します。
格付け機関としては、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズといった海外の有名な格付け会社やR&I(格付投資情報センター)、JCR(日本格付研究所)といった国内の格付け会社もあります。
評価は、AAA、AA、A、BBB、BB、Bといったアルファベットで表示されますが、一般的にはBBBまでが投資適格といわれます。つまり、それより低い評価の場合、投資に向かない、あるいは将来的に債務不履行となるリスクが徐々に高まると判断されます。
2025年1月の日経新聞の記事によれば、日本国債の格付けはシングルAプラス(S&Pの長期発行体格付け)と、G7の中でイタリア(トリプルB)に次いで低い水準だとしています。残念ながら世界主要国の中での日本国債の評価はあまり高くはありませんが、それでも債務履行の確実性は高いとの評価だと理解することができます。