はじめに
変額保険と投資信託を直接運用した場合の比較
では、変額保険は得なのかを考えてみたいと思います。
変額保険は運用の目的で契約しますが、証券会社などでも投資信託を購入することができます。またNISA口座を使って投資信託を運用することもできます。変額保険を使って運用するのと直接、投資信託で運用する場合ではどのくらい違うのかを比べてみましょう。
変額保険の有期型を例にシミュレーションをします。変額保険は下記の例にしました。
まずは、運用している部分と、保障の部分・手数料の部分を分けて考えてみます。35年間の定期保険の保険料、変額保険にかかる手数料は開示されていないのでわかりませんが、計算で類推してみます。
35年間の払込保険料総額は840万円、運用実績が0%だと解約払戻金は630万円です。払込保険料総額840万−解約返戻金630万円=210万円とすると、210万円が死亡保険と手数料の金額です。35年間分なので月額にすると5000円です。手数料と定期保険の保険料が月額5000円と計算できます。
単独で65歳までの定期保険に加入した場合の保険料は月額3300円くらいですので、運用と保険は別々で考えた方が効率は良いことが、すぐにわかります。
次に運用部分について比較してみましょう。年率3%で運用できたとすると、35年間運用すると約1200万円に増えます。払込保険料の総額が840万円なので、運用益は360万円です。
もしNISAなどで、直接、投資信託を運用した場合には、1483万円です。運用益は643万円です。変額保険で運用するよりも約300万円近く多く増えます。
変額保険の方は、同じ3%で運用できたとしても、運用益は半分近くになってしまいます。運用効率を考えても、けっして良いとはいえません。しかも、契約から10年間は解約控除がかかるので、40歳までの解約返戻金は、グッと少なくなります。
変額保険は、運用効率の悪い商品
変額保険を利用して運用すると始めの10年くらいは、解約控除があるのでマイナスになることが決定しています。スタートしてから10年後には、少しずつ増えいくことになりますが、投資信託などに直接投資するよりも効率が悪いです。運用益を「変額保険」に直接投資した場合では、大きく差が開きます。保険としての機能もありますが、手数料を含めた保険料として考えると、かなり高い保険料を支払うことになります。つまり、変額保険で運用を考えるのは、とても効率が悪いといえます。結論としては、保障と運用は分けて考えた方が良いでしょう。