株価下落“第2波”は「過剰流動性相場」終わりの始まり?
パウエル発言で不安が増幅
2月から始まった世界的な株安は、簡単には終わりそうにありません。3月1日の日経平均株価は、前日比343円安の2万1,724円と大きく下げました。2月27日に、米FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長が議会証言で、「個人的には景気見通しは力強さを増してきた」と発言したことが、戻り歩調にあったNYダウ平均株価、日経平均が再び売られるきっかけとなりました。米国の景気が良いという話は、普通は、株にプラス材料です。しかし、今回は通常とは逆の影響を株式市場に及ぼしました。その背景には、どんな事情があるのでしょうか。
賃上げはどうなる? 安倍首相「3%」掛け声の行方
異例の政治介入で成就するか
景気拡大と人手不足が続く中、2018年の春闘交渉が本格化しつつあります。今回の春闘では、安倍晋三首相が3%賃上げ実現に強い熱意を示しています。「経済の好循環を回していくためには、今年3%の賃上げをお願いしたい」と、経済界に対し、具体的な目標を定めて賃上げを要請しています。安倍首相は、お願いするだけでなく、税制面からも賃上げを後押しします。大企業で3%、中小企業で1.5%の賃上げを実施する企業に対し、法人税の実効税率を25%まで引き下げる優遇措置を導入しました。なお、優遇を受けられないと、実効税率は2018年度から29.74%となります。本来、民間企業の自主性に任せるべき賃金に、異例の政治介入となります。はたして、安倍首相の悲願は成就するのでしょうか。
緩む融資姿勢、「銀行カードローン」とどう接すべきか
貸付残高は5兆円を突破
過剰な貸し付けが問題になっている銀行カードローン。この貸付額の大きい12行に対し、金融庁は立ち入り検査を実施。1月26日に、その中間とりまとめを発表しました。消費者ローン業者には、年収の3分の1を超える貸し付けはできないという総量規制があります。ところが、銀行のカードローンはその適用対象外となっています。規制の枠をすり抜ける形で、年収と同額に近い貸し出しまで実行されるようになっているのです。その結果、2006年度には消費者ローンが17.3兆円、銀行カードローンが3.4兆円と大きな開きのあった両者の残高は、徐々に接近。2014年度に逆転し、2016年度には消費者ローンが4.5兆円、銀行カードローンが5.6兆円となっています。なぜこうした状況になっているのでしょうか。そして、私たちは銀行カードローンに対して、どう接していけばいいのでしょうか。
企業物価“12ヵ月連続上昇”は日常生活にどう影響するか
ついに日本でもインフレが復活?
ある物価指数が上昇を続けています。企業と企業が取引する商品の価格水準を示す「企業物価」です。日本銀行が1月16日に発表した2017年12月の企業物価指数は、前年同月に比べて3.1%高い100.1でした。前年同月比でプラスとなるのは12ヵ月連続。2017年通年で見ても98.8となり、前年比でプラス2.4%と3年ぶりの上昇となりました。米国、中国をはじめとした世界的な好景気によって、原油や石炭、鉄鉱石など資源価格が上昇した影響が出ています。円安が進んだことも、国内の企業物価を押し上げる要因となっています。輸入物価は前年同月比で7.1%上昇しています。このような物価上昇は、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
2年連続で値上げ、「生命保険」とどう付き合うべきか
生保で考慮すべき“2つの機能”
2018月4月、貯蓄性のある生命保険(終身保険、個人年金保険、養老保険、学資保険など)で新規契約の保険料が上がる見込みです。昨年4月に引き上げられたばかりですが、2年連続で引き上げられることになります。ただし、すべての保険で保険料が引き上げられるわけではありません。定期保険(満期返戻金のない「掛け捨て保険」)では、保険料が下がる見通しです。私たちは保険とどう付き合っていけばいいのでしょうか。
実質利回り6%超、「すかいらーく」の株主優待がアツい
優待内容の魅力とリスクを徹底分析
明日はクリスマスイブ。子供の頃、サンタクロースからどんなプレゼントがもらえるのか、ワクワクしてなかなか寝付けなかったという経験をされた方も多いのではないでしょうか。でも大人になると、そうした機会は限られてしまいます。そこで今回の記事では、私から読者の皆さんに、この時期らしいクリスマスプレゼントをお送りしたいと思います。実は12月決算の株式銘柄には、個人投資家に人気の「食事券」を株主に贈呈する企業が多数あります。中でも人気の高い銘柄の1つに、すかいらーく(証券コード3197)があります。その魅力と、知っておくべきリスクについて解説します。
好景気に黄信号?ガソリン価格と景気の無視できない相関
危険水域は「リッター160円」
百貨店での販売が好調です。外国人観光客の買い物増加が貢献しています。ただし、理由はそれだけではありません。株高の恩恵で、宝飾品など高額品の売れ行きが好調といいます。日本の消費がひさびさに元気を取り戻していると考えたいところです。ただ、冷静に考えて、株高の恩恵を受けられるのは、一握りの富裕層だけです。国民全体に恩恵が広がっている感覚はありません。日本の消費が本当に元気を取り戻すには、もっと賃上げが広がる必要がありますが、今のところ、好景気でも賃上げは広がりません。一方、家計にとって、気になる兆候も出ています。ガソリンや食品、宅配便など、国民生活に直結する分野で、値上がりが目立つようになってきたことです。その中身をくわしく見てみると、景気変調の先行指標に“黄信号”が灯るかもしれない状況が浮かび上がりました。
女性が働きやすい「働き方改革」先進企業の見分け方
政府の選考委員は何を見ているか
共働き世帯が増加する中で、また人手不足が深刻化する中で、多くの企業が女性の働きやすい職場づくりを進めています。ですが、中にはお題目ばかりで実態の伴っていない企業もあります。本当の意味で女性が働きやすい職場を探し出すには、何を見ればいいのでしょうか。4年連続で内閣府の「女性が輝く先進企業」選考委員を務めている筆者の視点から、重要となるポイントをご紹介したいと思います。
自称「育休先進企業」が見落としがちな“1つの指標”
時代に合った「働きやすさ」とは?
11月10日、内閣府男女共同参画局において、平成29年度「女性が輝く先進企業」の表彰選考委員会が開催されました。私は今年で4年連続、選考委員を拝命しています。今年も表彰候補企業のさまざまなデータを見て、女性の活用を進めるための「働き方改革」が一段と進んでいることに感銘を受けました。その中に1つ、気になるデータがありました。共働き世帯が増えている中、本当に働きやすい企業とはどんな会社なのでしょうか。委員会で紹介された事例も交えつつ、日本が目指すべき理想の働き方を考えてみたいと思います。
小売業界で独り勝ち、百貨店はなぜ“復活”したのか
インバウンド消費は「第2幕」へ
百貨店の販売が好調です。日本百貨店協会が発表した9月の全国百貨店売上高は4,351億円(全店ベース)で、既存店(開業から1年以上が経過した店舗)の販売は前年同月に比べて4.4%増加しました。コンビニが4ヵ月連続、スーパーも2ヵ月連続で前年同月の売上高を下回る中、唯一健闘した感のある百貨店。このところ、コンビニや専門店に客を奪われて衰退しているイメージもありましたが、再び元気を取り戻しつつあります。何が百貨店の復活を支えているのでしょうか。