はじめに

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2024年度の運用状況を発表しました。資料によると、同年度の全体の収益額は1兆7334億円、収益率は前年比0.71%でした。資産ごとの運用収益では、外国株式が4兆3103億円、外国債券が1兆857億円とプラスでしたが、国内債券が2兆8426億円、国内株式が8200億円とマイナスでした。2023年度の年間収益額が45兆4153億円だったことと比較すると見劣りしますが、プラス収支を維持しています。


GPIFのインカムゲインは4兆円超え

GPIFとは、2001年から年金積立金を運用している公的な機関で、世界中の資産に投資運用して資金を増やすことが仕事です。GPIFは国民の年金資産を安定的に運用し、年金の安定給付への貢献を役割としています。短期的な利益追求だけでなく、将来にわたって安定的な収益を確保することを掲げています。GPIFが運用を始めた背景には、少子高齢化による年金制度の持続可能性への懸念がありました。年金給付を安定的に行うためには、年金積立金を効率的に運用し、収益を上げることが不可欠だったため、GPIFが設立された経緯があります。

GPIFの収益のうち、キャピタルゲイン(株式や債券などの売買差益)は市場価格の変動により短期的には評価損となることもありますが、インカムゲイン(利子・配当収入)は市場変動の影響を受けにくく、安定した収入を得ています。2024年度のインカムゲインは4兆6788億円で、内訳は外国債券が約1兆6000億円、国内株式が約1兆4000億円、外国株式が約1兆1000億円、国内債券が約4800億円です。国内株式のインカムゲインは2014年度から1兆円増加しています。市場運用を開始した 2001 年度以降の24 年間のインカムゲインの累積額は、55兆8689億円に達しました。

GPIFは第4期中期目標期間(20~24年度)を掲げており、その期間ではすべてプラスの運用収益を達成し、同期間で97兆9934億円のプラスとなりました。内訳は、外国株式で約53兆円、国内株式で約37兆円です。年金積立金の市場運用を開始した2001年度から2024年度までの累積収益額は、155兆5311億円です。

2024年度末のGPIFの運用資産額は249兆7821億円です。資産構成割合(2025年3月末現在)は、国内株式61兆6186億円(23.94%)、外国株式61兆9188億円(24.05%)、国内債券71兆1500億円(27.64%)、外国債券62兆7302億円(24.37%)です。第5期中期目標期間(2025年度からの5カ年)における基本ポートフォリオは、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券のそれぞれを25%に定め、乖離許容幅をプラスマイナス6%としています。

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