はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回の相談者は、40歳の既婚男性。中学生になる2人のお子さんの教育費を負担に感じながらも、投資を始めてみたいという思いがあるようです。FPの高山一恵氏がお答えします。
40歳にして投資未経験。子ども2人の教育費負担に不安を感じている。 本当は投資を始めたいと考えており、今の状況でそれが可能なのか、 可能であれば何から始めればよいかを知りたい。
【相談者プロフィール】
・男性:40歳(公務員)
・配偶者(妻):40歳(専業主婦)
・子ども:2人(13歳、13歳)
・お住まい:持ち家(戸建て)
・毎月の世帯の手取り金額;45万円
・年間の世帯の手取りボーナス額;200万円
・その他収入:児童手当 2万円、売電収入 3万円
・毎月の世帯の支出の目安:35万円
【毎月の支出の内訳】
・住居費:2万円
・食費:8万円
・水道光熱費: 2万円
・教育費:8万円
・保険料:5,000円
・通信費:1万円
・車両費:2万5,000円
・お小遣い:5,000円
・その他支出:10万5,000円
【資産状況】
・毎月の貯蓄額:20万円
・ボーナスからの年間貯蓄額:100万円
・現在の貯金総額:2,500万円
・毎月の投資総額:0円
・現在の投資総額:0円
・現在の負債総額:0円
ご相談、ありがとうございます。
2人のお子さんの教育費が家計の負担になっていて、投資を始めてみたいけれど投資を始めても大丈夫な家計なのかどうかということですね。
教育費は本当に足りないのか?
実際に家計を拝見すると、教育費を捻出するためにとても堅実に暮らしている様子が窺えます。投資ができる家計かどうかを判断するにあたり、まずは、ざっくりとでも良いので、今後のお子さんの教育費を把握することが大切です。
現在、2人のお子さんは13歳で中学生のようですね。今後、高校、大学とどれくらいのお金がかかるのかデータから確認してみましょう。
まず、高校は私立をご希望とのこと。文部科学省『子供の学習費調査(2023年)』によると、私立高校の1年間の学習費総額は103万283円となっています。内訳は学校教育費が76万6490円、学校外活動費が26万3793円です。
3年間では、1人あたり307万7235円。ですから、2人分だと約615万円となります。
ただし、高校の学費は「高等学校等就学支援金」による補助があります。これまで公立高校に通う場合は年11万8,800円(年収目安910万円)、私立高校に通う場合は年39万6,000円(年収目安590万円未満)もしくは、年11万8,800円(年収目安590万〜910万円)を上限に授業料のサポートが受けられていましたが、2025年4月から助成が拡充されています。
2025年4月からは、所得制限が撤廃され、公立、私立を問わず一律年間11万8,800円を上限に支給されます。ただし、私立高校を対象に加算されている就学支援金の支給は世帯年収590万円未満の世帯が対象になっています。
出典:「高等学校等就学支援金・高校生等臨時支援金リーフレット」(文部科学省)
また、東京都に在住の場合は、私立高校の授業料を助成する「私立高等学校等授業料軽減助成金」という東京都独自の制度があり、なんと、所得制限がありません。これにより、国の就学支援金と合わせて私立高校の授業料が最大年額48万4,000円まで助成されます。
さらに、2026年4月からは私立高校を対象に加算されている就学支援金の上限額の所得制限が撤廃され、授業料を最大45万7,000円まで支給する制度が始まる予定です。
本当に実施されることになれば、1人分で3年間で約137万円、2人分だと約274万円が助成されます。
前述の文部科学省のデータより、私立高校に通った場合の2人分の学費は約615万円なので、助成分の274万円を差し引くと実質の負担は341万円になります。
ご相談者さんのようにこれまで所得制限を超えて支給対象から外れていたご家庭では、これまでよりかなり学費負担が減るのではないでしょうか?