はじめに

疑問を感じた点

しかしながら、楽天証券のこの取り組みに疑問を感じる点もあります。

例えば、除外商品を選別するにあたり用いる評価基準です。楽天証券はこの基準を用いて、これまで運用商品のモニタリングをしてきたうえで、今回の除外に至ったとするのが自然だと思うのですが、どうもそうではないのかも知れないと疑いがあるからです。

というのも、今回除外対象となった「セゾン資産形成の達人ファンド」を運用するセゾン投信が、楽天証券の評価に対して「定量基準を使った一律の除外ではなく、個々のファンドの特性等を勘案して丁寧に判断するべきではないか」という意見を申し入れたが聞き入れられなかったという趣旨の発表を行っています。

筆者も、当該商品のように独自の哲学をもって運用を行う投資信託においては、24ヶ月というそう長くはない評価期間で一律の基準を設けるのは、ふさわしくないのではないかとも考えます。

同時に、iDeCoの運用商品を採用する際に、楽天証券はこのような評価基準をオープンにした上で、商品選定を行うべきだったのではと思います。もちろん運営管理機関が特定の運用会社に便宜を図ることは許されませんが、あらかじめどういう選択基準でiDeCoの商品を決定しているのかを明らかにしないと本当の透明性は担保されないのではないでしょうか?

そういう意味では、除外対象となった商品の運用会社が結果に疑問を投げかけるという態は、運営管理機関の評価基準あるいはモニタリングが不十分だったとも考えられます。

また、除外が完了した際に入替商品として挙がっている運用商品9本のうち、定量基準のスコアが出されているものは2本しかありません。

追加理由には、お客様のご要望に応えるために、社内で慎重に検討を重ねたとありますが、除外のための基準があるのであれば、追加のためにも基準を満たした投資信託を選択するのが理にかなったプロセスではないでしょうか?

インデックスファンドであっても、コストだけではなく、指数と連動した運用ができているのか評価ができるだけの充分なモニタリングが必要でしょう。

例えばNISAのつみたて投資枠に採用されている投資信託には明確な基準があり、その基準に合致しなければ投資家はつみたて投資枠でその投資信託を購入することはできません。

特にアクティブ運用の投資信託については、継続して投資家に支持・選択されるものとして、以下3つの要件を満たすことを条件としています。①純資産額50億円以上②運用実績5年以上③信託期間中の3分の2以上で資金流入超の実績が認められること。

調べてみると、追加商品の中には、上記基準に達していないものもあり、長期投資をうたうのであれば、上記の基準も必要不可欠ではないかという考えも浮かんできます。さらに追加商品の半数以上の運用会社が楽天投信投資顧問となっている点も気になります。

運営管理機関という責を担う楽天証券の、iDeCoの商品選択の基準は長期投資を行う多くの方にとって大いに参考となることだと考えます。だからこそ、商品除外の基準、そして追加商品選定の基準ももう少しクリアにしていただけるとさらに良いのではないかと考えます。

今回除外商品に対し、賛同するか否かの返答を求められている方については、除外理由の他、除外後に入れ替えられる追加商品についても納得できるものかどうかも合わせて考えられると良いのではないかと思います。参考になりましたら幸いです。

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