はじめに

2025年の5月に投稿した当連載の記事「『そろそろ買い場か』と考える投資家へ 株価急落のオリエンタルランド株は“夢の国”への逆張り投資となるか?」は、読者の皆さまの関心がとても高かったようで、投稿から時間が経った今でも、ときどきアクセスランキング上位に顔を出します。

この記事では、2024年につけた高値5,765円から、半値以下の2,755円まで下落したオリエンタルランド株を、今買っていいのかどうか、という内容を取り上げました。この時点では、PERが40倍超で、テクニカル的にも下降トレンド継続中だったため、もし買うのであればトレンド転換のサインが出るのを待ったほうが無難、と締めくくっています。

その後、しばらく株価は3,000円以下で低迷していましたが、2026年3月期第1四半期決算発表後に、3,700円台まで上昇。「いよいよ上昇トレンドに転換か!」と浮き足だったところで、10月30日の第2四半期決算発表を迎えました。

その翌日の株価は、-9.96%と大幅下落。「やっぱりまだ買うべきじゃなかったのか!」とガッカリしている投資家も多いかもしれません。

しかし、今回の下落は、もしかしたら本当の買い場になるかもしれません。


決算の内容は悪かったのか?

10月30日に発表された第2四半期決算は、売上高3,161億円(前年比+6.4%)、営業利益682億円(+8.0%)。当初の営業利益予想は618億円だったので、10.3%の上振れ着地です。通期予想に対する進捗率は42.6%で、物足りなさを感じるかもしれませんが、当社は下期のホリデーシーズンに稼ぐ季節性があるため、決して悪い数字ではありません。

それでも株価が下落した理由は、おそらく第1四半期と比較した場合に、大きく見劣りするからだと思われます。

とくに営業利益の23.8%減はインパクトがあり、営業利益率は23.7%から19.3%に悪化。第1四半期決算で、ふたたび夢の国の輝きを取り戻したと期待した投資家にとっては、落胆するのも無理はありません。

しかし、この減益は悲観するものではないと考えています。というのも、第1四半期は、新規エリア「ファンタジースプリングス」の開業効果で入園者数が上昇する特殊要因がありました。そのため、その反動減で売上が微減したのはやむを得ないでしょう。むしろ、7~9月の猛暑を鑑みると、かなり優秀な結果だったともいえます。

利益減についても、ファンタジースプリングス関連資産の償却開始が影響しており、これは成長に伴う投資的コストと捉えられます。

当社にとって重要な指標を見ると、入園者数は2025年第2四半期累計で1,220万人、2026年第2四半期累計で1,225万人とほぼ横ばい。ゲスト一人当たりの売上高は、前期17,303円、今期は18,196円と5.2%成長。平均客室単価は、前期61,456円に対して今期は66,806円と8.7%成長しており、顧客基盤・収益モデルは非常に安定しており、構造的な衰退の兆候は見られません。

下期はハロウィン、クリスマス、春休みと収益チャンスが豊富ですし、ファンタジースプリングスも通期で稼働することで、売上・利益にさらなる寄与が見込まれます。さらに、2028年のクルーズ事業も成長ドライバーとして期待できます。

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