はじめに

老後資金の出口は「切り替え」ではなく「継続」を

ご夫婦は当初、「運用を終えたら安定商品に切り替えて取り崩す」と考えていました。しかし、切り替えのタイミング次第では、相場下落時に損失を確定させてしまう恐れがあります。そのため、最初から債券を組み込んでおくことで、運用を続けながら取り崩す設計を提案しました。

たとえば、70歳頃から月10万円(年間120万円)を取り崩す場合、株式と債券を組み合わせたポートフォリオであれば、大きくブレることなく生活資金を確保できるでしょう。年1回程度のリバランスを行えば、相場環境の変化にも柔軟に対応できます。

「運用→切り替え→取り崩し」ではなく、「運用しながら取り崩す」──これが老後資金を長持ちさせる基本形です。

「減っても立て直せる」設計とは何か

債券は“守りの資産”と呼ばれますが、本当の意味での守りとは、「攻め続けるための余裕を作ること」だと感じます。

具体的には、相場が大きく下落したときでも、債券を持っていることで取り崩しを継続できる余裕が生まれます。株式が回復するまでの間は債券や金から優先的に取り崩し、年1回のリバランスで株式の比率を戻すことで、相場回復の恩恵も受けられる。これが「減っても立て直せる設計」の実践です。

米国株やAI相場が好調な今こそ、守りのポートフォリオを整えるチャンスです。10年後、資産を取り崩すときに慌てないために、今から備えておくことが、何よりのリスク対策になります。

最後にまとめとして、ご夫婦にお伝えした3つのポイントをご紹介します。

・債券は「利回りを下げる資産」ではなく、「取り崩しを安定させる資産」
・為替ヘッジ無しの金は、インフレと円安への備え
・老後資金の出口は「運用しながら取り崩す」が基本

「攻め」と「守り」、どちらも欠かさないこと。それが、60代からの資産運用で最も大切なバランスです。

※本記事は特定の資産比率や金融商品を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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