はじめに

続けられる投資に共通する条件

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投資を長く続けるためには、リターンの大きさよりも先に、「続けられるかどうか」を考える必要があります。どんなに理論上は優れた投資でも、途中でやめてしまえば意味がありません。むしろ、派手さはなくても、無理なく続けられる投資の方が、結果として大きな成果につながるケースは多くあります。

1: 投資に回す金額

「続けられる投資」を考えるうえで重要なのは、まず金額です。生活費を切り詰めすぎて投資資金を捻出したり、余裕資金を超えた金額を投入したりすると、相場が少し動いただけで精神的な負担が大きくなります。投資は生活を豊かにするための手段であり、生活そのものを圧迫するものであってはなりません。多少リターンが小さく感じられても、「この金額なら気にならない」と思える水準で続けることが、結果的には最も合理的です。

2: 投資の頻度

投資の頻度も、継続性に大きく関わります。毎日のように売買を繰り返すスタイルは、時間的にも精神的にも負担が大きくなりがちです。相場を常にチェックし続ける生活は、仕事や家庭とのバランスを崩す原因にもなります。

一方で、積立投資のように、一定のペースで淡々と続ける仕組みは、忙しい日常の中でも無理なく続けやすいというメリットがあります。頻度を下げることは、決して手を抜くことではなく、長く続けるための工夫の一つです。

3: 商品選びと理解度

商品選びについても、「自分にとって理解しやすいかどうか」という視点が重要です。仕組みが複雑で、値動きの理由が分かりにくい商品は、不安を感じやすくなります。

不安は判断を早まらせる最大の要因です。多少リターンが控えめでも、自分が納得して保有できる商品を選ぶ方が、結果的に安定した投資行動につながります。
これは、NISAでの積立投資であっても、個別株投資であっても同じです。まず自分で売買する根拠を持つ。そのためにも、自分で調べて選ぶことが大切です。

情報との距離感が投資行動を左右する

また意外と見落とされがちなのが、「情報との距離感」です。現代は、投資に関する情報があふれています。SNSや動画、ニュースを通じて、常に新しい話題や刺激的な意見が目に入ってきます。しかし、情報が多すぎることは必ずしも投資にとってプラスではありません。頻繁に意見が変わる情報源に触れ続けると、自分の投資方針が揺らぎやすくなります。長期で続けるためには、必要な情報だけを選び取り、過度に振り回されない距離感を保つことが欠かせません。

人生に合った投資を選ぶという結論

ここまで見てきたように、投資を「続けられるかどうか」は、リターンの大小よりも、人生設計との相性によって決まる部分が大きいと言えます。老後、教育費、働き方、リスク許容度といった前提条件は人それぞれ異なり、同じ相場や制度、商品であっても、最適な選択は変わります。

「何に投資すべきかは人によって違う」という言葉は、よく聞くフレーズかもしれません。しかし、その本当の意味は、「人それぞれ、人生の前提が違う」という点にあります。同じ相場、同じ制度、同じ商品であっても、人生のステージや価値観が違えば、最適な選択は変わります。だからこそ、他人の成功例をそのまま真似するのではなく、自分自身の人生設計に照らし合わせて考える姿勢が重要になります。

投資は、短期的な結果が目につきやすい世界です。上がった、下がった、当たった、外れた。そうした話題に目を奪われがちですが、本当に大切なのは、数年、十数年という時間の中で、無理なく続けられているかどうかです。

投資をお金を増やすことだけを目的とするのではなく、人生をより安定させ、選択肢を広げるための手段として捉えることができれば、相場の変動に対する見方も変わってきます。他人の成功例をそのまま真似するのではなく、自分自身の人生に照らし合わせて考える姿勢が、結果として長期的な資産形成につながっていきます。

投資は、人生と切り離された特別な行為ではありません。むしろ、人生設計そのものの一部として、静かに確実に積み重ねていくものだと考えます。この記事が皆様の投資の参考に少しでもなれば幸いです。

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