はじめに
年金給付が途絶えた人はいない
では、「年金はもらえなくなる」のでしょうか?
日本の老齢年金は終身で受給できます。かつて、寿命が尽きる前に年金給付が途絶えた人はいません。コロナ禍で現役世代の収入が減ったり、職を失い収入が途絶えたりした一方、老齢年金の給付は一度も途絶えることなく継続しました。
もちろん年金が「もらえない」人は存在します。しかしその理由は「受給要件を満たしていない」からです。
老齢年金を受給するためには、最低10年間の保険料納付済み期間が必要です。かつては、25年要件だったので、年金が「もらえない」人も多くいたと言われていますが、それも受給要件を短縮したことによって、無年金者がずいぶん減ったとされています。
最低10年間の保険料納付済み期間は、途中で保険料の納め漏れがあっても60歳までに累計で120ヶ月の保険料納付済み期間があれば認められます。もし収入を得ることが難しい状況などになった場合、申請をすることで「保険料を納めた期間」として認められたりする免除や特例制度もあります。それでも納付要件を満たせない場合は、60歳以降に任意加入をすることで満たすこともできます。
会社員のように、厚生年金に加入している方は、自動的に国民年金にも加入しています。また国民年金に加入した期間が10年以上あれば、厚生年金は1ヶ月以上の加入により受給権を得ることができ、加入期間に応じた老齢厚生年金を国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして受けることができます。
「それでも年金だけでは生活ができないじゃないか」と言われるかも知れませんが、個人が受け取る年金額はそれぞれが納めた年金保険料に応じて決められています。支払った保険料が多ければ、それに応じて年金額は多くなり、支払った保険料が少なければ、残念ながら受け取れる年金額も少なくなります。またその計算式はすべての方に対して公平に適用されます。
テレビなどで街頭インタビューに応える高齢者と皆さんでは年金事情も異なっています。20歳から年金加入が義務づけられたのは昭和61年からで、その前は任意加入の方もいましたし、今ほど年金制度の普及も進んでいなかったので、保険料を納めない国民年金被保険者も少なくありませんでした。
少子高齢化でも年金制度は破綻しない?
では、「少子高齢化」により、年金制度は破たんするのでしょうか?
これも答えはNOと言うべきでしょう。年金制度は、入ってくるお金と出て行くお金の帳尻があえば持続します。入ってくるお金の7割は保険料、2割が税金、1割が年金積立金の運用収入です。
保険料を納める人については、働く女性が増えたり、働く高齢者が増えたりしたことで、昔より状況は好転していると言われています。しかし、このまま人口が減り保険料を負担する人が減り続けると、やはり年金給付を継続することも難しくなるため、いくつかの対策がすでに遂行されています。
厚生年金加入要件を引き下げ、より多くの方が厚生年金に加入できるようにする「適用拡大」や、子どもを産み育てながらも働き易い環境を整える「共育て施策」などみんながこの制度を支えるためにもうすでに取り組んでいるのです。
長生きリスクに備える唯一の方法が「公的年金」
長い老後を支えるために、一生働き続けるのには限界があります。日々の生活をやりくりしながら、長い老後の生活費を賄うために貯蓄をするにも限界があります。また人間の寿命は予測ができるものではなく、必要な老後資金額を計算することも限界があります。
このように「長生きリスク」に備える最も良い方法が終身で受給できる「公的年金」であり、この制度は今後もしっかり守って行かなければならないことだと考えます。
機会があれば、毎年誕生月に届くねんきん定期便をよく読んでみる、年金事務所に出向いてみるなどをして、年金に対しての理解を深めていただくと良いのではないでしょうか?