はじめに
投資への関心が高まる中、「毎月の積立額はこれで本当に正しいのか」と、改めてその妥当性を問い直す声が増えています。将来の安心を追い求めすぎれば今の生活が窮屈になり、継続が難しくなります。家計構造を鑑みた「手取り収入の15〜25%」という目安を軸に、各ライフステージや世代における「未来の安心」と「今のゆとり」を両立させる黄金バランスを見つける戦略とは? お金のプロであり、今を生きる現役世代として筆者が解説します。
投資の目的を再定義。「お金の残高」だけで人生は測れない
積み立てNISA、あるいは積み立て型の長期投資において、「毎月いくら積み立てるべきか」という問いは、私自身もセミナーや取材の場で何度もいただくテーマです。金融アナリストとして市場を見続けている立場から申し上げると、結論はとてもシンプルで、しかし同時にとても深いものになります。
それは、「未来の自分も、今の自分も裏切らない割合を見つけること」だと思うのです。
投資は未来の安心を作るための行為ですが、そればかりを追い求めて今を犠牲にするのは本末転倒です。数字上の最適解よりも、自分自身が「これなら続けられる」と腹落ちしているかどうか。その納得感こそが、長期継続の鍵になります。
投資はお金を増やす手段です。しかし、人生そのものは、お金の残高だけで評価されるものではありません。家族との時間、友人との食事、学びや趣味への投資、心が満たされる体験。こうした“今”の積み重ねがあってこそ、将来の安心にも真の意味が生まれます。だからこそ、積立額は単純な数字の問題ではなく、「生き方のバランス」の問題なのです。
毎月一定額だからこそ迷う、「月々の積立額」の妥当性
まず、積み立て投資の本質を整理しましょう。積み立て投資とは、価格の上下を予測するのではなく、時間を味方につける戦略です。毎月一定額を投資することで、高いときには少なく、安いときには多く買うというドルコスト平均法が働きます。
さらに長期保有による複利効果が加わることで、時間が経つほど資産成長のスピードは加速します。これは理論上だけでなく、過去の主要株式指数の長期データが証明してきた事実です。
では、その「時間を味方につける」戦略において、月々の金額はどの程度が妥当なのでしょうか。
家計の黄金比「手取り15〜25%」という指針
私はいつも、まず家計全体の構造から考えることをお勧めしています。手取り収入のうち、生活費・固定費を差し引いた後に残る余剰資金のうち、どれだけを投資に回せるか。目安としては、無理のない範囲で手取りの15%から25%程度を積立投資に回せると、将来的な資産形成のスピードはかなり安定します。
ただし、これはあくまで目安であって、万人に共通する絶対的な正解ではありません。