はじめに
資産形成を盤石にする「軸」 ――コア・サテライトと規律のルール

積立額の目安が見えてきたら、次はそれを「どのように運用し、いかに守り抜くか」という実行フェーズに移ります。
【全世界株式・S&P500】市場の成長を丸ごと取り込む「コア・サテライト戦略」
投資戦略の観点から申し上げると、積立額を決める際には、目的と時間軸を明確にすることが不可欠です。その資金は老後資金なのか、教育資金なのか、あるいは将来の選択肢を広げるための自由資金なのか。目的によってリスク許容度も変わります。
老後まで20年以上あるのであれば、株式比率を高めに設定し、成長性を重視したインデックスファンドを軸に据える戦略が合理的です。一方、10年以内に使う予定の資金であれば、株式100%はややリスクが高く、債券や現金とのバランスを考える必要があります。
積立投資の王道は、全世界株式やS&P500といった広範囲に分散されたインデックス商品をコアにすることです。市場全体の成長を取り込むという考え方は、個別銘柄の選択よりも再現性が高く、長期投資との相性が良いからです。その上で、余力があれば、テーマ型や成長セクターへのサテライト投資を加える。こうしたコア・サテライト戦略は、資産全体の安定性を保ちつつ、リターンの上振れを狙うバランス型アプローチです。
【感情の排除】暴落を乗り越えるルール化と“心理的クッション”
また、相場環境によって積立額を頻繁に変えることはお勧めしません。株価が高いから減らす、安いから増やすという裁量判断は、往々にして感情に左右されるからです。基本は一定額を継続し、ボーナスなどの臨時収入がある場合に追加投資を検討する。このようにルール化することで、感情のブレを抑えることができます。
もう一つ、プロとして強調したいのは、「緊急資金の確保」です。積立額を決める前に、生活費の3か月から6か月分程度の現金を確保しておくこと。これは暴落時に積立を止めずに済むための“心理的クッション”になります。相場が大きく下落したときに積立を継続できるかどうかが、長期投資の成否を分ける最大のポイントだからです。
投資はマラソン――走り続けられるペースを見極める
私はよく、「長期投資はマラソンであって、短距離走ではない」とお伝えしています。マラソンで最初に飛ばしすぎると、後半で失速します。同じように、積立投資も無理な金額設定は途中で挫折するリスクを高めます。少し物足りないくらいでも、最後まで走り切れるペースを見つけることが重要です。
未来の自分を大切にするということは、老後資金をしっかり準備することだけではありません。自身のスキルを磨くための勉強や、健康を保つための運動、家族との思い出づくりもまた、未来の自分への投資です。積立額を決めるときには、こうした“見えないリターン”も含めてバランスを考えてください。将来の安心を取りすぎて今が空白になるのも違いますし、今を楽しみすぎて未来が詰むのも違います。その中間にある、「未来の自分も、今の自分も裏切らない割合」を見つけること。それが、積み立て投資における本当の正解だと私は考えています。
投資はお金を増やす手段ですが、人生は体験でできています。だからこそ、納得感を持てる金額で、長く続けること。それこそが、プロの視点で合理的な投資戦略であると同時に、今を生きる私たちにとって最も人間的な選択でもあるのです。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]