はじめに

外食業界全体で広がるM&A

今回の買収は、業界全体の潮流とも重なります。飲食業界のM&A件数は2026年1~3月期だけで前年比6割増の36件にのぼったと報じられており、大手チェーンによるブランド獲得競争が続いています。2年前にはすかいらーくHDが「資さんうどん」を240億円で買収し、直近では松屋フーズHDが「六厘舎」などを展開する松富士を約91億円で買収するなど、時期を問わず大型M&Aが相次いでいます。国内市場の伸び悩みを、既存の強いブランドを買い足すことで補う動きが、外食業界全体で広がっている状況です。

サンマルクの本業は大幅減益、買収効果がどう出るか?

サンマルクHDの直近決算は楽観できる内容ではありません。8月5日発表の2027年3月期第1四半期は、売上高220億円(前年同期比2.9%増)に対し、営業利益は5.8億円(同42.2%減)と大幅減益でした。原材料費や人件費の高騰でコストが増え、収益性が低下しています。それでも通期の会社計画(売上高930億円、営業利益53億円、いずれも増収増益)は据え置かれており、下期での挽回が前提です。本業のコスト増と大型買収による負担増が重なるタイミングだけに、統合効果が出るまでの資金繰りやのれん償却の影響は注視しておきたいところです。

投資家として注目したいポイント

株価は買収発表を好感して翌日上昇しましたが、実際の収益貢献が見えてくるのは早くても12月の統合以降です。約116億円規模ののれんが今後どう償却され、利益にどう影響するかは、次の決算での説明を確認したいところです。また本業の減益トレンドが下期に本当に挽回できるのか、国内14店舗で売上高約61億円(1店舗あたり約4.4億円)という水準を保ちながら出店を加速できるかも、中長期の成果を左右するポイントになりそうです。

サンマルクHDは2024年の京都勝牛・牛かつもと村の買収に続き、今回も日本の食文化を背景に持つブランドを取得しており、今回のつるとんたんが最後の一手とは限りません。同じ路線での次のM&A動向も、継続してウォッチしておきたいところです。

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