はじめに
2026年前半は、AI半導体株が大活況で、半導体株を持っていないと投資家としては負け組のような様相でしたが、後半戦は勝ち組負け組がガラリと入れ替わりました。とくに原材料や人件費の高騰で、逆風が吹き荒れていた飲食業が息を吹き返し、年初来高値を更新する銘柄もあります。
吉野家が上場来高値を更新。好決算を支えた3つの勝因とは?
そんな中でも、ひときわ強さが際立っているのが吉野家ホールディングス(9861)です。10月8日に発表した2027年2月期の中間決算は、売上高は1,215億円(前年同期比10.0%増)、営業利益は57.8億円(同30.3%増)と大幅増収増益、さらに通期の営業利益予想も、85億円から100億円に引き上げています。
増益の主役は、牛丼の吉野家事業です。売上高は812億円(9.9%増)、セグメント利益は55億円(48.2%増)で、利益率は約5.0%から約6.8%に改善しました。海外事業も売上高160億円(15.9%増)、利益10.6億円(22.1%増)と好調です(海外は1~6月の数字)。
好調の理由は3つあります。
1つ目は、客数と客単価がそろって伸びたことです。吉野家の既存店(開店から1年以上たった店)の売上高は6.5%増でした。3~5月は客数が3~5%増、客単価も6~8%上がっています。牛鉄板焼肉定食などの新商品や、トッピング祭、牛丼弁当2丁800円といった販促が寄与しました。
2つ目は、値上げの進め方です。2024年7月に牛丼並盛を468円から498円にしたあと、2025年4月は大盛や定食、各種丼を40~70円上げる一方、並盛は据え置きました。この値上げは2026年4月で1年がたち、前年比の効果は一巡しています。それでも客単価が上昇しているのは、牛たん・牛皿御膳などの商品施策と、タブレット注文で購買点数が増えたことが挙げられ、値上げを負担に感じさせない工夫に拍手です。
3つ目は、コスト増を増収で吸収したことです。原材料費の上昇で約8億円、人件費の上昇で約7億円、合わせて約15億円の利益が押し下げられました。それでも、既存店の増収が約27億円の増益効果を生み、コスト増を吸収しています。