はじめに

Case3. 「管理職の管理職」である部長が成すべきこととは

組織によっては呼称が異なる場合もありますが、一般的に「管理職のトップ」といえば部長のことを指し、課長・係長といったいわゆるマネジャークラスとは役割が異なります。マネジャーの役割が「スタッフの業務を管理し、目標を達成するために統率すること」だとすれば、部長の役割は「組織が目指すべき目標を設定すること」になります。

部長の職務は決してマネジャーの延長線上にあるわけではないため戸惑いを覚える人も数多く、そこで考え方を切り替えられるかどうかが「優秀なリーダーになるか否か」の分岐点になります。夏目さんがキャリア支援したなかで部長に昇進した人も、その一人でした。

キャリア支援をしてきたなかで、部長に昇進したものの、最初は勝手がわからずとまどっていましたが、仕事をこなしながら実感がわいた、という人がいました。

「マネジャーのときは達成すべき目標が上から降りてきました。当初はその難易度に一喜一憂していましたが、とにかく組織の目標を達成するためにどうすればいいかを常に考えていたように思います。でも、今は自らが目標を考える立場になったんです」

「目標を考える際に何か意識していることはありますか?」
「部下への問いかけを、『どうすれば?』から『なぜ?』に変えました」
「『なぜ?』とは?」
「そもそも、なぜこの目標を達成すべきかという目的を考えるのです」
(本書P.155より)

リーダーがなすべきことは「マネジャー以下スタッフの仕事を生み出すため、目標を自ら考えて作り出すこと」です。そしてその目標について「なぜそう設定したのか。それを達成したらどのような未来が拓けるのか」ということを、責任をもって語れなければなりません。年収が上がっていく優秀なリーダーの条件について、夏目さんは次のように語っています。

年収がどんどん上がるリーダーほど、仕事はこなすものでなく、自らつくり出すものだということを知っています。目標が達成されれば、新たな目標を設定することが大切だということも理解しています。

たとえば、「来期は今期より20パーセントアップの売上を目指す」といった目標を設定したら、部長は、なぜ20パーセントアップなのかを語れなければなりません。また、20パーセントアップしたらどうなるのか、未来を明確に言葉で表現しなければならないのです。

「なぜ?」という視点を持つからこそ、部下たちにしっかりとした理由を示すことができるのです。「どうすれば?」だけでなく、「なぜ?」と自問しながら仕事を生み出すリーダーをぜひ目指してください
(本書P.157より)

以上、年収が上がっていく人の特徴を、スタッフ・マネジャークラス・リーダークラスそれぞれのケースで見てきました。もちろん、ここで挙げたことを心掛けるだけで年収があがるわけではありませんが、日ごろの仕事への取り組み方を見直すうえで、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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記事提供/日本実業出版社

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