はじめに
2017年は仮想通貨で盛り上がりましたが、副業ブームも続いています。副業を容認する会社も増えてきましたが、自分が副業でどれくらい稼いでいるのか、会社や上司には知られたくないと考える方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、副業収入がいくらあるのかを勤務先に知られないために、確定申告のときに気をつけなければならないことについて、お伝えしたいと思います。
会社に知られるのは、住民税が原因?
毎月の給与から、住民税が天引きされていると思います。こちらは「特別徴収」という仕組みを使って、自分で住民税を納める代わりに、会社が個人に代わって給与天引きした住民税を納めてくれる制度です。自治体としても納付忘れが減るため、特別徴収を推進しています。
住民税は、前年における給与以外の所得も合算して計算されます。会社が住民税の給与天引きをできるということは、裏を返せば、各自治体から個人別の住民税額が会社に通知されているということです。
ここで問題となるのが、給与が同じAさんとBさんであっても、Aさんに副業収入があれば、住民税の額はBさんよりも多くなってしまうということです。ちょっと気がつく経理担当者であれば、この違いにひっかかりを覚えるのではないでしょうか。
(出典:大阪市ホームページ参照)
毎年6月ごろに、会社から上図のような住民税の決定通知書を渡されると思います。赤枠で囲った左側の「その他の所得計」という欄で、給与以外の所得金額がわかるようになっています。また、右側の「営業等」という箇所にチェックが入ると、事業所得があることがわかります。
この明細が自治体から会社に直接渡ってしまうことで、副業から得た利益が会社に伝わってしまうのです。
確定申告書は第二表にご注意を
副業の収入が会社にわからないように確定申告をしたい、と言われる方は多いです。物価は上がっているのに手取り収入がなかなか増えない今、副業や投資で資産を増やそうというのは当然の流れのように思います。
そこで、住民税から副業収入の金額を知られることのないように、確定申告の際に気をつけていただきたいポイントがあります。それは、確定申告書の「第二表」の下部にある「住民税・事業税に関する事項」の欄です。
(出典:国税庁HPより)
赤枠で囲った住民税の徴収方法の選択の箇所で、「自分で納付(普通徴収)」に忘れずに丸をつけるようにしてください。こちらに丸をつけることで、副業(事業所得)にかかる住民税については、上述の住民税の決定通知書に記載されず、ご自宅に納付書が送られてくるようになるのです。
特別徴収の住民税は毎月ほぼ同額が給与天引きされることになりますが、普通徴収を選択すると6月、8月、10月、翌年1月の4回にわけて1年分の住民税を納付することになります。総額は変わりませんが、1回当たりの納付負担が大きくなるのがデメリットといえます。