はじめに

副業で法人を設立する場合

副業の収入が順調に伸びていると、「いつかは脱サラして副業一本にしぼりたい」、「そのために法人を設立したい」、「法人を利用して節税したい」というお話もよくあります。法人を設立すれば、条件を満たすことで最大2年間、消費税の免税メリットを受けられる他、役員社宅を活用して家賃の一部を会社経費として負担させることができるなど、様々なメリットがあるからです。

法人を設立すると一般的に、今までのように事業の利益全額が自分の所得となるのではなく、役員報酬として定めた毎月一定額の給与をご自身の会社から受け取ることになるでしょう。

(出典:大阪市ホームページより)

この場合、住民税の決定通知書で「主たる給与以外の合算所得区分」の「給与」の欄に印がついてしまうことになります。つまり、勤務先以外から給与を得ていることとその給与収入の金額が、この通知書からわかってしまうのです。

ご自身の法人からの給与分のみ普通徴収にできれば良いのですが、自治体も特別徴収を推進していることから、対応してもらえるかどうかは各自治体の判断が分かれるようです。

社会保険料についても注意が必要

法人を設立すると、社会保険への加入が義務付けられています。そのため、ご自身が代表取締役として役員報酬を受け取る場合には、ご自身の法人でも社会保険への加入が必要となりますので、忘れずにお手続きをしてください。

この場合、年金事務所に「二以上事業所勤務届」を提出すると、各勤務先からの給与の合計額を元に社会保険料の額が決定されることになります。その後、勤務先とご自身の法人で按分された社会保険料をそれぞれの会社から納付することになるのです。

そのため、法人を設立した場合には、節税メリットがある一方で、社会保険料支出が増えることになります。

なお、健康保険証については、勤務先とご自身の法人のどちらがメインの会社になるかを選択し、メインの会社から受領した保険証を使用することになります。勤務先をメインの会社として選択した場合でも、新しい健康保険証が交付されることになります。


同僚に副業で稼いだ金額の話をしてしまう、SNSへの投稿を知り合いに見られてしまうなど、副業でどれくらい稼いでいるのか噂が広まってしまうこともあります。

個人事業主として副業する場合には、勤務先に副業収入の金額を知られないために住民税の徴収方法を忘れずに選択しなければなりません。法人を設立する場合には、社会保険の手続きが必要なことを忘れてはいけません。

将来的には副業をする人が増え、もっとオープンに副業について語れる時代が訪れるのではないでしょうか。

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