はじめに

国名の略称にも国際規格がある

実は以上で紹介した「2文字の国名・地域名」にもISOが定めた国際規格があります。それが「ISO 3166-1」と呼ばれる規格。俗に「国コード」「国名コード」とも呼ばれます。

この国コードにも数字コード(ISO 3166-1 numeric)と英字コードが存在しており、そのうち英字コードの方には2文字コード(同alpha-2)と3文字コード(同alpha-3)が存在します。例えば日本の場合、数字コードが392、2文字の英字コードがJP、3文字の英字コードがJPNと決まっています。そしてこの2文字の英字コードが、通貨コード(ISO 4217)でも登場するわけです。

ところでこのJPという表記を見て、何かに気づいた人もいるのではないでしょうか。

実はウェブサイトのURLで、その末尾に登場する国名・地域名(国別トップレベルドメイン)も国コード(ISO 3166-1)に原則準拠しているのです。日本だと.jp、中国だと.cn、香港だと.hkといった具合です。ただし英国の場合は.gbではなく.ukであるなど、一部に例外もあります。またインターネットの歴史的経緯から、米国では.usがあまり使われない傾向もあります(.us自体は存在する)。

国と通貨は1対1とは限らない

通貨コードの話に戻りましょう。

ここで指摘しなければならないのは、国と通貨は必ずしも1対1の関係ではないということ。世界には、複数の国が同じ通貨を使うような事例も存在するのです。通貨コードではそのような通貨に対して「X+2文字の通貨名」というコード(注)を与えています。

例えば中部アフリカ諸国銀行(BEAC)が発行する通貨CFAフラン(セーファーフラン)は、チャド、中央アフリカ共和国、カメルーン、赤道ギニア、ガボン、コンゴ共和国で使用されており、XAFという通貨コードが与えられています。また西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)が発行するCFAフラン(前述のCFAフランと同名・同価値)は、セネガル、ギニアビサウ、マリ共和国、コートジボワール、トーゴ、ベナン、ブルキナファソ、ニジェールで使用されており、XOFという通貨コードが与えられています。

そんな複数国が同じ通貨を使う事例としてもっともメジャーな存在は、EU諸国が使っているユーロ(Euro)でしょう。ところがこのユーロの通貨コードがちょっと独特なのです。ここまでの文章の中にユーロの略称は登場済みですので、気になる人は探してみてください。詳しい話は後編で紹介します。

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