読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はプロのFPとして活躍する花輪陽子氏がお答えします。


従業員持株制度で、株が増加して2万株になりました。売却すれば3,000万円くらいになるのですが、配当金として今のところ70万円もらえるため、定年後を見据えどのようにしておけば良いか悩んでおります。ご指導のほどお願いします。

〈相談者プロフィール〉
・男性、58歳、既婚、子供2人
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・住んでいる地域:埼玉県
・手取り年収:500万円
・毎月の支出目安:40万円

花輪: 従業員持株制度は奨励金がもらえるなどのメリットも大きいですが、投資先が一極集中しているというリスクが大きなデメリットになります。

“勤務先と投資先が同じ”従業員持株制度のリスクとは?

「卵を一つのカゴに盛るな」という投資の格言がありますが、収入をもらう勤務先と運用リターンや配当を得る投資先が同じということは非常に大きなリスクになります。

最悪のパターンでは、会社の倒産で両方を一気に失うリスクもあるからです。

今は株価も調子が良く配当もたくさん出ているので良いですが、仮に会社で不祥事が起きれば株価が暴落するリスクもありますし、経営が悪くなれば配当が出なくなる可能性もあります。

何もなくてもマーケットに応じて株価が変動するので、株式市場が悪くなれば株価が半分になったりする可能性もあります。

また現在、手取り年収に対して支出額がギリギリで、余裕がない状態です。ほかにも貯蓄があるなら株式を保有しておくのも1つの手ですが、全資産が株式というのは非常に大きなリスクになります。徐々に安全資産に移していっても良いでしょう。

年金はいくらもらえる? 老後資金を試算

ここで、老後資産はいくら必要なのかを考えてみましょう。

現在の支出が40万円なので、7割程度を想定すると28万円ですね。50歳を過ぎると、ねんきんダイヤルで年金額の見込みを聞くことができるので確認をしましょう。

厚生労働省によると、平成29年度の標準的な年金額は厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)で22万1,277円です。これは夫が平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で、40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準です。

たとえば老後の生活費が28万円、年金額が22万円で月6万円の赤字ならば、年間72万円の貯蓄の取り崩しが必要になります。65歳から90歳までの25年間で、1,800万円になりますね。加えて、介護や医療費などの予備費も1,000万円程度あると安心です。

定年が近づいてきたら安全資産の比率を高めて

現在株式が3,000万円程度ということですが、株式に関しては取得価格と売却価格の差益に関しては税金がかかります。また、売却の際に証券会社に払う手数料もかかります。それらを見込んで、老後に必要なお金を準備する必要があります。

たとえば一部を売却して、預金や個人向け国債など手堅い資産に移し始めるのも1つの方法です。仮に半分を売却すれば1,500万円弱を安全資産で確保でき、配当金も35万円程度受け取ることができますね。

従業員持株制度は売却するのに書類を提出しなければならなかったり、売却できない期間もあるので売却までに時間もかかります。また、勤めている間は売りにくい雰囲気があるかもしれません。ですが、老後の安心を考えて、現在の年齢ならば安全資産に徐々にシフトさせていくことは悪くないと思います。