はじめに

40代・10歳以上年の差夫婦共働き
―夫の定年退職後に半減する収入に合わせた住宅ローンの返済方法

居住予定の家族の年齢と年収夫(45歳)年収800万円
妻(32歳)年収500万円
年内に第一子出産予定。
自己資金の額1100万円
物件価格3800万円
借入予定額3000万円
物件のタイプ注文住宅

<相談内容>

いろいろネットで調べてみましたが、私たちのような歳の差夫婦で共働きの場合については情報がなく、思い切ってメールしました。

工務店が提携している信用金庫の30年固定金利がフラット35と同じくらいの低金利で、仮審査も通っています。でも、夫の年齢が45歳なので、定年後の家計が心配でなりません。

繰り上げ返済は考えないほうがいいでしょうか? 死亡と3大疾病保障付の団信に通ったので、長期で払い続けると夫はいっているのですが、私は心配です。

回答:ミックスローンor多額の繰り上げ返済で返済額を段階的にコントロールするのがお勧めです

あと10数年で定年退職となる状態で、3000万円の住宅ローンは心配になりますよね。旦那様が60歳でリタイアしたとすると、年金が支給開始されるまでの5年間は奥様の収入だけになります。この5年間を無理なく乗り切れる住宅ローンの借り方、返し方というのがポイントです。

(1) ミックスローンとは、ひとつの家に対して2本の住宅ローンを組むこと

重要なポイントは旦那様が定年退職したあと、5年間は収入が半分以下になることが確定しているということです。そのときの支払いを半分にする住宅ローンを組むのです。つまり、10年固定(旦那様の定年退職まで)と30年固定(奥様の定年退職まで)のミックスローンを使って、返済額を段階的に減らす、という方法です。

(本書P.243より)

当初の10年間は、10年固定と30年固定の両方の返済を行い、毎月約8万円の返済します。これは主に旦那様の月収によって支払います。奥様は今年中に出産を予定されていますので、奥様の収入は加味しませんが、問題なく返済できるものと思います(手取り月収の4割以下)。

そして、旦那様の定年前にやってくる10年後の残高1100万円を一括返済します。これは10年間の貯蓄によって賄います。1年に110万円の貯蓄で可能ですね。当初の10年は繰り上げ返済せず、10年経過してから一括返済します。こうすることで、住宅ローン控除の恩恵を無駄なく受けられます。

その後の支払いは30年固定の月4万円だけになりますね。少額で金利は固定ですから、定年後の支払も安心できるでしょう。

(2) 信金の30年固定で借りて10年後に半分繰り上げ返済する方法

ミックスローンには、10年後に10年固定を一括返済しなければ、それ以降は高い金利が適用されてしまうリスクがあります。

そこで、信金の30年固定で借りて、10年目に残高の半分を繰り上げ返済する方法でも、ミックスローンと同じような効果を上げることができます。10年固定金利よりは高い金利になるのがデメリットですが、その信金は住宅ローンに力を入れているようなので、メガバンクやフラット35と同程度の低金利なのですね。

金利が高くなる代わりに、10年後に絶対繰り上げ返済しなければならない、というハードルは低くなります。老後資金と、そのときの奥さまの収入を見て、繰り上げ返済額を調整できるのは大きなメリットだと思います。

いずれにしても、旦那様の定年後にやってくる収入の半減期の返済を低く抑えるという戦略的な考え方で繰り上げ返済することをお勧めします。


以上「住宅購入に際して心得ておくべきこと」についてみてきました。最後に本書から、千日氏が考える「家を買うときに大切にしてほしいこと」をご紹介します。

支払が少なくすむことを「お得」と表現しますが、文字通り得をすることが主眼ではありません。「本当にその家で満足か?」という心の声に耳を傾けてください。そして、単純に損得だけで判断するのではなく、次の2つを達成できるかという価値判断が最優先されるべきなのです。

長期間の住宅ローンを完済できる可能性とそのスピードを上げる。
少子高齢化社会での老後の生活資金をより多く残すことができる。
本書と出会ったあなたが、この2つの価値判断を道標に家の購入と住宅ローンの正しい道を選び、ご家族と素敵な人生を歩まれることを祈っています。

(本書「おわりに」より)


家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本 千日太郎著


マイホーム、住宅ローンという人生最大の買い物と契約の機会に際し、初心者が百戦錬磨のプロを相手に「家選びとお金」で損をしないためには?「家と住宅ローンの専門家」の現役公認会計士である人気ブロガーが、「ホンネの話」を教えます。

記事提供/日本実業出版社

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