はじめに
はじめての予定納税、資金残高に注意
今回の例では確定申告の際の納税額は8万8,300円でしたが、副業利益が増えて確定申告の際の納税額が15万円以上になると、今度は「予定納税」の納付が必要となります。これは、翌年以降も引き続き同額の副業利益があると見込んで、確定申告の際の納税額が多額にならないよう、事前に分割して税金を前払いしておく制度です。
仮に、確定申告の際の納税額が15万円だった場合には、7月と11月に確定申告時の納税額の3分の1ずつとなる5万円を各月に納付することになります。次回の確定申告で精算されるとはいえ、合計で10万円もの税金の前払いをするということは、安定した副業利益を得られない場合には手元資金を圧迫することにもなりかねません。
そこで、6月末時点でその年の副業利益が少なくなることが見込まれる方は、予定納税の減額申請を行うことができます。提出期限が7月15日まで(11月分のみ減額を受ける場合は、11月15日まで)とタイトですので、事前に収支を見積もっておくなど、準備をしておいたほうが良いでしょう。所轄税務署で承認されれば、予定納税額を減らすことができます。
退職するなら健康保険にも注意が必要
会社勤めをしながら副業をしている間は、健康保険料は給与収入に連動するため、特に気にとめることもなかったかもしれません。ところが、副業が忙しくなったり、プライベートに変化があったりして、会社を退職することになった場合はどうでしょうか。
今後も安定して高収入を得られそうな方は、現在の会社の健康保険で任意継続制度を利用すれば、保険料を抑えることができるかもしれません。また、今後の収入見込みが少なく、ご家族の扶養に入られる方は、健康保険料の負担はなくなります。
では、任意継続もせず、扶養にも入らず、国民健康保険に加入する場合はどうでしょうか。
国民健康保険料は、前年の所得に基づいて計算されます。確定申告または年末調整の際の所得を基準として、次の4月から翌年3月までの保険料が決まります。会社勤めと副業のダブルワークで12月まで働いて退職する場合など、翌年の保険料が多額になることも考えられます。
給与収入の場合は、毎月の給与から税金も社会保険料も天引きされています。手取り収入の少なさは気になりつつも、納税の負担感は少なかったかもしれません。副業収入に関しては、源泉所得税の対象となる一部のものを除き、所得税、住民税、事業税、すべてが後払いとなります。国民健康保険に加入する場合は、その保険料は前年所得を元に計算されます。
副業をしている場合、近い将来発生する税金、社会保険料の支払いがいくらになるのか、早めに見積もって資金を確保しておきたいものです。