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3月から出荷開始、熊本産スイカが“独自進化”したワケ

新品種も続々と登場

日本の夏の代名詞であるスイカですが、熊本県では3月初旬から今年の出荷が始まりました。さまざまなメディアでも報道されており、それに伴って私が経営しているフルーツショップにも注文がどんどん入ってきています。

出荷量で国内トップを誇る熊本県は、日本随一のスイカどころ。しかし、一般にはまだあまり知られていない事情も少なくありません。スイカ王国・熊本の現状をお伝えします。


なぜ熊本は生産量日本一なのか

熊本県が日本一のスイカの生産量を誇っている背景には、2つの理由があります。

1つは「栽培に適した環境」です。熊本県は地理的な影響を受けて、寒暖の差がとても激しい地域です。この寒暖差は人間にとってはなかなか厳しいものですが、甘くておいしいスイカを生み出す秘訣となります。

熊本県ではスイカをハウス栽培しています。外は雪降る真冬の季節でも、ハウスの中は暖房で夏のような環境を人工的に作り出します。暖房を入れている間は夏、暖房を切れば冬に戻るという具合に、大きな寒暖差を作り出すことでスイカはグッと甘みを増しておいしくなるのです。

また、おいしいスイカを作る秘訣は何といっても「水」です。熊本県の上水道はミネラル豊富な地下水で100%賄われています。蛇口をひねればミネラルウォーターが出てくる、という環境なのです。

文部科学省の食品成分データベースによると、スイカの89.6%は水分が占めています。肥沃なミネラルを含んだ地下水で育てるからこそ、おいしいスイカになるのです。

もう1つの理由が「生産者の栽培技術」です。熊本県にはスイカ作りの名人が数多くいます。街を走ればスイカハウスが軒を連ね、スイカの看板やのぼりを出している店をあちこちで見かけます。

特に植木町という地域はスイカのブランド化を進めており、当店で買い物をするお客様も「植木町で仕入れたスイカをお願いします」と言われるなど、地域ブランド名で指名買いされているほどです。

こうした環境や確かな腕を持つ生産者がいることが「熊本=スイカの産地」というブランドを作り、日本一の生産量に押し上げたのです。

スイカの抱える大きな問題

しかし、実はスイカは大きな構造的問題を抱えています。生産者の後継者不足や高齢化がネックとなり、収穫量が右肩下がりで落ちてきているのです(下図)。

上述したように、スイカは生産者の腕前によって出来栄えが大きく異なる、繊細でとても手間ひまのかかるフルーツです。満遍なく太陽光が当たるよう、膨大な数のスイカを1玉1玉転がし、クッションを敷いてやります。

大きいものは1玉10キログラム以上にもなるので、生産する過程で腰を傷めてしまう農家も多いです。また、冬に暖房を入れて栽培すれば、その分の経費も重くのしかかります。

こうした事情があり、年々スイカの価格は上がっています。当店でもスイカは主力商品なので、原価の値上げは肌感覚で感じているところです。こうした状況は、以前に取り上げたミカンと同様です。

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