はじめに

サッポロホールディングス傘下のポッカサッポロフード&ビバレッジが、一風変わった商品を来週から販売します。特許出願中の新製法で作った、新感覚のスイーツドリンクです。

商品としての最大の特長は本格的な味わいなのですが、それ以上に特徴的なのはメインターゲットを30~50代の男性に置いている点。なぜ「おじさん向けのスイーツ飲料」を開発したのか。その理由を探ってみます。


名店のコーヒーゼリーを再現

ポッカサッポロが新たに開発したスイーツ飲料「JELEETS(ジェリーツ)」。ゼリーとスイーツを融合させたネーミングです。希望小売価格は150円(税抜き)で、3月26日に全国で発売します。

最もこだわったのが、全国のコーヒーゼリーの名店を食べ歩いて見出したという、本格的な味わい。深煎り豆から抽出したコーヒーの香り・酸味・後味を調整して組み合わせた、ほろ苦いコーヒー感のあるゼリーに、クリームが絡み合うさまは、喫茶店で口にするコーヒーゼリーそのもの。

この本格的な味わいを実現させたのが、特許申請中の新製法「二重ゼリー製法」です。従来のゼリー系飲料は、缶の中で固まっているものを振って崩して飲む、というものでした。いわば、ミルクコーヒーのゼリーを崩して飲む方式だったのです。

ところが新製法では、充填物を殺菌して冷やすと、ゼリーにしたい部分は固まり、クリームが外に出てきます。出荷段階では液体状のクリームの中に固形状のコーヒーゼリーが浮かんでおり、それを振って崩すことで、コーヒーゼリーにクリームをかけたような状態になるわけです。

この新製法は、構想から8年、80回以上の試作を経て実用化されたといいます。「理論的には実現可能だったのですが、ラインテストをすると、クリームとゼリーがきれいに分離しませんでした」(ポッカサッポロの室晃司課長代理)。

一時は頓挫した開発計画でしたが、2013年にサッポロHD傘下のサッポロ飲料と旧ポッカが統合し経営が安定してきたタイミングで、改めてゼリー系飲料に着目。配合などを見直すことで、ようやく製品化にこぎ着けました。

1991年に発売した「プリンシェイク」以来、数々のデザート飲料を開発してきた同社の技術の粋を集めて開発したわけです。

ターゲットは「スイーツ紳士」

この新商品で主なターゲットに置いているのが、酸いも甘いも味わい尽くした30~50代の男性だといいます。ポッカサッポロでは、こうした顧客層を「スイーツ紳士」と命名。普段は無糖飲料や炭酸水を飲んでいる層に、仕事の合間のご褒美として飲んでもらう需要を想定しています。

そのため、働く男性が机の上に置いても恥ずかしくないパッケージデザインを採用。一方で、味覚だけでなく小腹を満たす意味でもスイーツ紳士が満足できるように配慮。一般的なチルド生菓子が150グラム前後のところ、この商品は275グラムと、食べごたえを重視しました。

また、仕事をしながらの「ながら飲み」を想定して、ぬるくなってもおいしい工夫を施したそうです。

それにしても、なぜ30~50代のおじさんをターゲットに据えたのでしょうか。ポッカサッポロの室さんは、こう説明します。

「女性はスイーツへの感度が高いので、一度は手に取ってくれると思います。しかし、感度が高いがゆえに、他の商品に気移りしやすい。一方で、各種調査などから、男性にもスイーツを求める層が相当数いることがわかりました。普段は他人の目が気になって食べられない層にも、コンビニや自販機なら、こっそり買って飲んでもらえると考えました」

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