はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は川口幸子氏がお答えします。

主人が自営業者で、6年前に亡くなりました。国民年金でしたので、遺族年金はありません。私の年金は会社員として働くまで掛けていませんでした。平成12年より正社員として働いています。年収300万円弱ほどでしたが、2年前に倒産し、転職しました。現在の収入は夜勤手当てを入れての給料です。65歳までは働くつもりですが、年金が少ないので老後の生活が心配です。少しでも貯金をしなければと毎月積み立てをしています。

住宅ローンはありませんが、家は古く、築40年です。数年前に老後に1人暮らしをしやすいように、キッチン、お風呂、外壁と少しリフォームしました。働けるのもあと数年。どのようにお金を貯めて、老後に備えたらよいのでしょうか。働けなくなったら、老後はどのような生活をすればよいのか、アドバイスをお願いします

〈相談者プロフィール〉
・女性、57歳、寡婦、子供2人
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取り世帯月収:23万円
・毎月の支出目安:12万~13万円


川口: ご質問ありがとうございます。旦那様が6年前に他界されたとのこと。遺族年金がない中、お子様を2人育てられてきたのですね。大変なことも多々あったかと思います。

働けなくなった時のことを想定した備えを

今回の老後の不安につきましてアドバイスをさせていただきます。

まず収入につきまして、現在約23万円の手取りの中で支出が12万円~13万円とのこと。約10万円ほどは貯蓄できているのでしょうか。素晴らしくがんばっていると思います。

毎月積み立てをしているとのことですが、どのように貯蓄されているのかが1つ問題です。

金利がほぼ0%のところにすべて貯蓄しているとしたら、ただ貯めているだけであって、増えはしません。物価の上昇率に晒されて資産が減ることも考えなくてはなりません。

65歳まで働くとのことですが、働けなくなった時のことを想定して、ある程度の介護保険や医療保険に入っていると安心だと思います。

介護保険は商品にもよりますが、払い終えると100%以上の積立金が貯まっているものがあります。終身保障であれば毎年金利がつき、増えていきますので、老後の年金の足しにしたり、追加のリフォーム代が発生した際などの資金にあてることも可能でしょう。

お金を引き出したり解約しなければ、介護保障は終身ありますので、お子様に介護してもらうようなことがあったり、施設のお世話になるような時にも安心だと思います。

保険に加入する際は、信頼できる経験豊かなファイナンシャルプランナーを選びましょう。

貯めるだけではなく「増やす」ことも考えて

また、65歳までの貯蓄の仕方ですが、やはり約8年あるのですから、今までの貯蓄も活かしながら「増やす」ことも考えたいですね。非課税制度を利用したNISA、金利高めのドル建ての終身保険、または投資信託や不動産投資も視野に、一度整理して考えてみるとよいでしょう。

生命保険文化センターが実施した「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人がゆとりある老後資金として必要なお金は34.8万円。独身の場合はその7割と仮定すると、一人暮らしで必要なお金は約24万円です。

厚生年金の加入期間が短いことや年収を考慮すると、年金支給額は平均よりも少なくなると思いますので、老後に向けてしっかりとした準備が必要になります。今の貯蓄と、毎月の積立額を計算して「複利」と「金利」を味方に、分散投資をするのもひとつの手だと思います。

また、65歳の時に貯まったお金を元に、元本保証型で毎年年金のように受け取れる商品や終身保険で老後資金を作るのもよいでしょう。途中解約をしなければリスクなく、老後資金を確保することができます。商品がたくさんありますので、選ぶ際にはしっかり検討しましょう。

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