はじめに

景気が良いとジムに通いたくなる

そこでデータを工夫してみます。今回の分析の焦点の1つが「会員がジムをどの程度、利用しているか」という点です。

会員のジムの利用が減る状況とは、たとえばジムを退会するまでではなくても、景気がかんばしくなく、仕事でカツカツになり、精神的にもジムに行く余裕がなくなっている環境です。こうした場面では、株価もネガティブになるでしょう。

経済産業省はジムの利用者のほか、会員数も公表しています。そこで、ジムの利用者を会員数で割ってみました。利用者÷会員数を平たく言えば「会員が1年間に何回、ジムを利用しているか(ジム年間利用回数)」を見たものです。さらに、前年差にして、前の年と比較しました。

この結果から、ジム会員の年間利用回数(利用者÷会員数)が大きく増えると株価も上昇し、反対に年間利用回数が大きく下がる場面では、株価も下落する傾向が見て取れるようになりました(図2の矢印)。

2016年はジム会員の年間利用回数の前年差がゼロを下回りました。これは前年に比べて年間利用回数が減ったことを意味していますが、連動して、株価も伸び悩みました。その一方、2017年は前年差の回復とともに、株価も上昇しました。

今年の株価はどうなる?

少し昔にさかのぼってみましょう。2013年の年間利用回数は前年より落ち込みました。これは、その2年前からの影響が理由です。

2011年は東日本大震災が発生したため国民全体に余裕がない時期となり、ジムの年間利用回数が大幅に低下しました。翌2012年はその反動もあって上昇しましたが、続く2013年は、さらにその反動で落ち込んだと見られます。

このように、年間利用回数はその時の社会情勢の影響なども大きく受けるだけに、株価との関係も強く出ています。しかしその反面、データだけに頼ると特別な要因の動きを受けてしまうため、株価の予想には私たちの実感なども加えて必要があります。

図2を見ると、2017年のジム会員の年間利用回数はプラスです。2018年もこの流れが期待されます。私の実感でも、5月のゴールデンウィーク中もジムが混んでおり、ジム会員の年間利用回数も多い印象もあります。これからの株高が期待できそうです。

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