はじめに

ポイント2:若干割安感もあり、安定的に収益をあげている

今度は、同業の予想PERを低い順に並べてみました。
証券コード銘柄名予想PER(9/23現在)
9022JR東海9.6倍
9021JR西日本11.7倍
9020JR東日本13.6倍
9009京成14倍
9042阪急阪神14.9倍
9005東急16.1倍

JR系が割安トップ3を占めていましたが、JR九州の予想PERは10.3倍。JR東海よりは割高でJRの中では適正価格と言えますが、広く同業と比較したら若干割安だと言ってもいいと思います。

さらに、業績に関してこちらをご覧ください。

※JR九州の目論見書より

この「EBITDA」とは、営業損益にキャッシュの支出を伴わない減価償却費などを足し戻したもので、より経営の実態に近い損益と言えます。EBITDAは安定的にプラスを保っており、ここ数年は、運輸サービス、不動産事業、建設事業なども着実に増益を続けていることが読み取れます。

ただ、運輸サービスは営業損益ベースで赤字になることもあるようです。山手線のようなドル箱路線があるわけでもなく、不採算路線もある地方都市の鉄道事業ではなかなか厳しいでしょうが、EBITDAでプラスになっているのは安心感があります。

ここで大事なことを一言添えておくと、第29期までのEBITDAには、「経営安定基金運用収益」を含んでいます。これは、平たく言っちゃいますと、国からの補助金のようなもので、上場に当たり今後この収益は計上されなくなります。

100億円を超える金額なので、これがなくなると採算が悪化しそうなもんですが、同時に同額程度の費用が発生しなくなるようにしていて、影響を小さくしています。細かい話になってしまいましたが、ようは「上手いことやっている」ということです。

ポイント3:政府案件のIPOは勝率が高い

昨年の郵政3社のIPOもそうでしたが、NTTや国際石油開発など、政府が保有していた株を売り出すIPOの勝率は高いです。JTの時は大幅に公募割れしているんですが、そのほかの案件ではおおむね好成績を収めています。JR3社の結果を載せますと……。
上場年銘柄名吸収金額公募価格→初値
1993年JR東約1兆円+58%
1996年JR西約5000億円+1%
1997年JR東海約5000億円+7%

3社ともプラスになっています。JR東の上がり方が目立ちますが、あまり期待しすぎずJR九州は+数%になるイメージでしょうね。

ちなみに吸収金額は3900億円なので、他3社よりは小さくプラス要因ですが、実は今回は政府保有株の全てを一回で売り切るような形になっています。昨年の郵政も3回に分けると言われていますし、JR3社も2,3回に分けて売り出しています。

金額ベースで1回で行けると判断されたと思うんですが、これはちょっと不安です。というのも、2回3回と売るのであれば、初回は絶対に失敗したくないというプレッシャーがかかりますが、1回きりなら売って終わりですので、今後決まる仮条件を割高に修正してくるかもしれないからです。

仮条件の引き上げに注意!割安感が薄れる可能性も

現在の想定価格2,450円では、それなりに割安感もありますし利回りも良いということで、参加に気持ちが傾いています。

ただ、この案件は投資家に人気があるという話も聞きますし、今後決定される「仮条件」ではおそらく値段を引き上げてくるでしょう。値段の上げ方によっては割高にもなりかねません。

それとこの手の大型IPOは地合いに左右される向きがあります。相場付きによっては参加を慎重に見極めたいと思います。


※抽選申込期間は証券会社によって異なります。また、情報に間違いがある可能性がありますので、必ずご自身でご確認し、投資判断は自己責任でお願いいたします。

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