はじめに
前回の記事「【第一回】そもそも「iDeCo」って何?老後のためにできること」で少しお話ししましたが、iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)の最大のメリットは「税制優遇が受けられること」です。
それゆえにiDeCoを使うことで、節税メリットを生かして老後資金を効率良く貯めることができるのです。では実際のところ、iDeCoでどんな節税効果が得られるのでしょうか?
これから具体的に見ていくことにしましょう。
年間の掛金全額が所得控除される
iDeCoでは大きく分けて3つのシーンで税制優遇を受けることができます。まず1つ目のシーンが、掛金を拠出する(=支払う)ときです。毎年支払った掛金の全額がまるごと「所得控除」されるのです。
所得控除というのは、所得税を計算する際に、所得から一定額を差し引く(=控除する)ものをいいます。この所得控除される額が大きければ大きいほど、納める税額は減っていきます。
iDeCoの掛金の場合、その全額が所得控除されることになるので、その分、所得税が減税になるのはもちろん、翌年の住民税も少なくなります。ちなみに、収入(所得)の高い人や、掛金をたくさん支払っている人ほど、その節税効果は高くなります。
ただし、何もしないで自動的に税金が減るわけではありません。節税するためには、「年末調整」または「確定申告」といった手続きが必要なので注意しておきましょう。
ではどれだけ節税になるのでしょうか? 下記に具体例を挙げてみました。
●【例1】年収500万円の会社員が月間掛金23,000円でiDeCoを始めた場合
・年間の節税額……55,200円
●【例2】年収600万円の公務員が月間掛金12,000円でiDeCoを始めた場合
・年間の節税額……28,800円
●【例3】年収700万円の自営業者が月間掛金6万8000円でiDeCoを始めた場合
・年間の節税額……244,800円
※データ出所:iDeCo(イデコ)ナビの「税控除を確認する」からシミュレーション試算
*上記のシミュレーション金額はあくまで節税額のイメージをつかんでいただくための概算であり、実際の金額とは異なることがあります
いかがでしょうか。年収や掛金の額などケースによって異なりますが、数万円レベルの大きな節税効果が得られることがおわかりいただけると思います。
例えば【例1】の場合、仮にiDeCoでの“節税による年利回り”を計算してみると、
55,200円÷(23,000円×12カ月)=20%
にもなります。
今や運用で年間20%もの利回りを確保するのはプロでも至難のワザです。この節税策を利用しない手はないでしょう。
ご自身の場合、どれだけ節税になるのか気になる方は、「iDeCo(イデコ)ナビ」の「税控除を確認する」を使ってシミュレーションしてみるとよいでしょう。
運用益が非課税なのも魅力的
2つ目のシーンが、iDeCoで運用しているときです。iDeCoで運用中に得られた利益(運用益)がすべて非課税であることも見逃せないメリットです。
通常、預金の利息、投資信託の値上がり益や分配金など、金融商品の運用で得られた利益には、約20%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%=20.315%)の税金がかかります。しかし、iDeCoの運用益には税金はかからないのです。その非課税になった利益の分をまるごとiDeCoの運用に回すことができるので、より効率的な資産運用が可能となります。
運用益が課税されるか否かでどれだけ金額に違いが出てくるのか、下記の具体例を見てみましょう。
●iDeCoで毎月、掛金23,000円ずつ20年間積み立てて運用(掛金総額:5,520,000円)、年利回りが3%で推移するとした場合
<1>一般的な課税される場合の運用資産総額は……
7,111,692円(=掛金総額5,520,000円+課税後の運用益1,591,692円)
税金がかかるかかからないかで、405,788円もの差が出る!
<2>iDeCoの場合(運用益は非課税)の運用資産総額は……
7,517,480円(=掛金総額5,520,000円+課税されない運用益1,997,480円)
掛金の額や利回りなどケースによって異なりますが、積立期間が長期になればなるほど、運用益に税金がかかるかかからないかで、数十万円レベルで差が出てくるのです。運用益が非課税であるアドバンテージを生かして、iDeCoで着実に老後資金を増やしていきたいところですね。