はじめに

10月14日の朝方、とんでもないスケールの話が飛び込んできました。ソフトバンクが、新しいテクノロジー分野に対して投資するファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立するという発表です。

ソフトバンクは、7月にイギリスのARM社を日本企業史上最高額である3兆3000億円で買収すると発表して度肝を抜かせたばかりでした。

https://moneyforward.com/media/career/14670/

今回もこれに匹敵するスケールの話で、とんでもないのはその規模です!総額1000億ドル(約10兆円)という聞いたこともない金額で、過去最大級の規模のファンドを目指すというのです。

さらに、ソフトバンク単独ではなく、パートナーと共同で出資をしていく話なのですが、そのパートナーにサウジアラビア王国(公共投資ファンド「PIF」)がいるというのだから驚きです。ソフトバンクは今後5年間で250億ドル(2.6兆円)以上、サウジは450億ドル(4.7兆円)を出資していくとのことです。

噂好きな投資家が好むオイルマネーを呼び込んだ形になり話題性は十分です。こんなビッグニュースを相場が見逃すはずがありません。いったいどんな銘柄が動意づいたのでしょうか。


10月14日現在、確認できた関連株

この材料の発表があった10月14日に株価に反応があった銘柄は、いまのところ3つありました(いまのところというのは、大きなニュースなので今後関連株が増える可能性があるからです)。その3つが以下です。

銘柄名証券コード特徴時価総額上昇率
ソフトバンクグループ9984ソフトバンクの本体、親会社8兆円+3.29%
ソフトバンク・テクノロジー4726ソフトバンク子会社、デジタルマーケティング390億円+16.4%
サイジニア6031ソフトバンクから出資、EC支援等52億円+13%

大元の「ソフトバンクグループ」も上昇

まずはソフトバンク本体。ARM買収時は、下げで反応していましたが今回は違いました。この規模の銘柄だと、材料がでても時価総額が大きすぎて株価が反応しないことが多々あるのですが、小じっかりといった形で反応しています。

自身の時価総額を超える規模のファンドの設立、サウジとパートナーなどへの期待の表れでしょう。また、すでに投資で神がかった成果を出していることも期待を大きくしているのかもしれません。

それと見逃せないのが、このファンドがソフトバンクの連結対象となるということです。ファンドの業績や資産が連結ベースの財務諸表に反映されるとのことで、まだどのように取り込むのかは明らかになっていませんが、ソフトバンクの財務に大きな影響を与える可能性があります。

いまソフトバンクはARM買収などもかさみ、巨額の有利子負債を抱えています。ここからは妄想話ですが、もしかしたら、ソフトバンクの保有するアリババ株などをこのファンドに売却することも検討しているのかもしれません。

それが可能なら、ソフトバンクはファンドを通してアリババ株を保有できますし、売却して得る現金で財務を改善することもできます。まぁでも他の出資者が嫌がりそうなので、難しいかもしれませんけどね。

ソフトバンクの出資先である「サイジニア」も大幅上昇

表と順番が前後しますが、こちらはソフトバンクがすでに出資をしているEC支援などをしている会社です。「ファンドを通して追加出資があるかも?」という思惑でしょうか。

業績が良くないのがネックなのですが、時価総額が小さく値が動きやすいのが魅力です。人工知能関連などとはやされて急騰するときもある銘柄ですが、今回はどうなんでしょう。

関連株の本命か?「ソフトバンク・テクノロジー」

名前の通り、ソフトバンクの子会社です。デジタル・マーケティングに力を入れている会社ですが、大幅高を演じ本命視されています。

今回のファンドはテクノロジー系の会社に積極的に出資をしようというものです。その出資先の企業と、グループ企業である同社との協業が実現すれば、事業を拡大できるのではとの思惑が働いています(実際にARM社との協業は発表されています)。

それと「ソフトバンクのテクノロジー系に出資するファンド」と「ソフトバンクテクノロジー」、なにか関係ありそうに思いませんか? こういう連想ゲームのような形で物色されることはよくありまして、新型iPhoneが発売されたらアップルつながりで中古車販売の「アップルインターナショナル」が買われたりするのと同じ感じですね。

バリュエーション的にもPERは20倍台なので買えないレベルではありません。加えて、突然の急騰に思わず空売りを仕掛けた投資家がたくさんいます。空売りを返済するためには買わないといけませんので、買い圧力は強く需給もいいと判断できます。僕自身はこの銘柄に一番注目しています。

投資の天才でもある孫社長は、投資家のセンチメントが弱っている今こそが投資のチャンスだとおっしゃっています。今回のファンドの件が、市場が活気づくきっかけになってくれればと思っています。


※情報には主観も入っており誤りがある可能性がありますので、必ずご自身でご確認し、投資判断は自己責任でお願いいたします

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