はじめに
市場縮小で業界はあの手この手
これまでお中元というと、「大体このくらいの予算で、こういった物を送る」という“慣習”がありました。ですが、近年のお中元ニーズの多様化により、「送り先のニーズ>慣習」といった図式で企業からさまざまな提案がなされていて、それに呼応する形で消費者も多様な贈り方をしています。
楽天市場の広報担当者によると、会社の人や得意先にカジュアルに配りたい需要から、1つ300円程度のお菓子が売れるなど、よりカジュアル化が進んでいる印象を受けるといいます。
また、写真映えするということで、見た目がかわいいギフトも引き続き人気が高いそうです。「インスタ映え」専用ページをオープンさせる予定になっています。
お中元の市場はバブル崩壊以降、減少傾向をたどっており、30年前の3割にまで縮小したともいわれています。矢野経済研究所によると、直近5年間だけを切り取っても、2018年のお中元市場の規模は7,821億円と、2014年から4.5%減少すると予測されています(下図)。
お中元商品の多様化の背景には、こうした市場の縮小を受け、企業側がさまざまな仕掛けを展開しているという事情もありそうです。たとえば、百貨店業界では近年、お中元を自分用に買うという打ち出し方をしています。
自分で試してから購入も可能に
また、楽天市場では3,000円以下で買える「カジュアルなお中元」を提案。人気のお中元商品を少しずつ詰め合わせた「お試しお中元」商品を作っています。
これには、試し買いをしてから、間違いのない商品を相手に贈ることができるように、との狙いもあります。商品によっては500円、1,000円といった手頃な価格で購入ができ、自分で試して気に入ったら人に贈る、という提案です。
いまや一口にお中元と言っても、選択肢は多様化してきました。従来は洗濯洗剤や食用油など日用消耗品がメジャーでしたが、近年は自分では買わないがもらったら嬉しい高級食材などが人気を博しています。
考え方次第では、まだ見ぬご当地グルメなどを受け取る楽しさの詰まったイベントになっています。さまざまなデータや企業側の仕掛けをうまく活用して、今年の夏はこれまでよりも変化をつけたお中元を贈ってみてはいかがですか。