はじめに

分散投資、リバランスの手法

ーー投資対象となる金融商品は何なのでしょうか。

主にアメリカで上場するETF(上場投資信託)です。東証にも多くのETFが上場していますが、海外のETFは取引量が多く、より流動性に優れています。また、数千もの商品が上場しており、選択肢が豊富です。同じ指数に連動するETFでも複数の商品があるので、コストや実績などを比較してベストなものを選ぶことができます。売買や保有にかかるコストが安いのも大きなメリットです。

ちなみに、東証のETFは一部の主要銘柄以外は取引量が極端に少なく、適正な価格で投資できないと判断しました。

ーー一人の投資家のポートフォリオで、何本ぐらいETFが組み入れられるのでしょうか。

ひとつの機能別ポートフォリオだけでも、10〜20本のETFで構成されています。これを組み合わせることになるので、投資家にもよりますがひとつのポートフォリオに30〜40本程度のETFが入ることが多くなります。

とはいえ、THEOではサービスをより気軽に使ってもらえるよう最小投資金額を10万円に設定しているので、この額では40本ものETFを買うことはできません。そこで、実際の売買を担うトレーディングのアルゴリズムは、投資家から預かった金額の範囲内で、できる限り目標ポートフォリオに近づけるための調整を行っています。

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小額の運用資産でもその人に最適なポートフォリオは十分実現できますが、目標のポートフォリオを完全に再現するためには300万円程度の資金があるのが理想ではあります。

ーーひとりのポートフォリオで30〜40本のETFというのは、随分詳細な分散投資ですね。

投資家が持っている複数の目的を同時に達成するためには、詳細で緻密な分散が必要です。株式だけでもアメリカや他の先進国、新興国と地域を分散する必要がありますし、できればその中で成長株と割安株に分けて投資できれば、より目的を実現しやすいポートフォリオができます。

債券も同様で、地域だけでなく国債や社債、ハイイールド債など種類によって性格は異なります。そしてさらにリスクを抑えるためには、株や債券と値動きが相関しないコモディティや不動産を組み入れることも重要です。

ポートフォリオの中身を多様化することの重要性については、THEOのアカデミックアドバイザーである京都大学の加藤康之教授も指摘しています。

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ーー海外ETFに投資すると、日本円をドルに変えて投資することになります。為替リスクを過剰にとることになりませんか?

そのように心配する投資家は多いですが、まったくの誤解です。たとえばMSCIコクサイという先進国株式の指数に連動するETFはアメリカでも日本でも上場していますが、投資対象が海外の資産である以上、どちらで投資しても実質的な為替リスクは同じだけ取っていることになります。だったら、流動性が高くて選択肢も多い市場で買う方が有利です。

ーー自動でリバランスを実行してくれるのもロボアドバイザー投資のメリットですね。THEOのリバランスはどのように行われていますか。

分散投資は決められた割合を維持していくことが重要なので、各資産の値上がりや下落で割合に変動が生じたら、元に戻すリバランスは不可欠です。上昇した資産を売却し、下落した資産を買い増すことで、運用成績の向上も期待できます。THEOではグロース、インカム、インフレヘッジの3つの機能ポートフォリオの割合を毎月チェックし、大きな変動があれば調整しています。

さらに3つの各機能ポートフォリオの中でも、定期的なリバランスを行っています。最適なリバランスの頻度はそれぞれ異なり、インカムであれば毎月配当が出るETFが多いので、リバランスも毎月行います。一方、株式中心のグロースは頻繁すぎても売買コストがかさむだけでそれほど意味がないので、四半期に一度です。インフレヘッジも基本的には年4回ですが、年に1度更新される経済指標に基づく部分についてはリバランスも年に1回です。

また、必ずしも機械的なリバランスばかりではありません。たとえば、近いうちに配当金が出ることが見込まれるならば、それを待って、減った資産クラスを配当金で買い付けるほうが売買コストが安く済み効率的です。このように詳細かつ柔軟なリバランスも、アルゴリズムに組み入れて自動化しています。